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「だだだ誰か来たぞ」
「セールスですよ」
「お、親御さんじゃないのか」
「ええ? そんな馬鹿な」
「すみませーん」
「あ、ほら、やっぱり。あれはセールスの声です」
「で、出なさい」
「え? この状況で?」
「居留守なんて駄目だ、ほら、早く」
久也に促されて松本は渋々玄関へ。
残された久也は肘を突いて起き上がると、あられもない自分の様を見下ろし、ため息を噛み殺した。
「ウチは新聞とってませーん……」
ドア越しに新聞勧誘を断る松本の声が聞こえてくる。
ああ、びっくりした……。
そうだ、今の内にカーテンと窓を閉めておこうか。
だけれども……。
股の間で佇む屹立をそのままに、あまり動きたくはない久也。
この状態で服を着るにも汚れてしまう。
「タオルなんていりませーん……」
しつこい相手のようだ、松本はなかなか戻ってこない。
いつまで時間をかけるつもりなのだろう。
ぴしゃりと一言言い放って追い返せないのか、彼は。
先ほど、屹立をすっぽりと包み込んだ口腔の熱さを思い出して、久也は思わずぶるりと震えた。
松本の唾液がまだ乾かずに先端をぬらりと光らせている。
収納ボックスに頭をもたれさせて、もどかしさの余り、久也は自身の指でそっとペニスを撫でてみた。
ぞくぞくぞくぞく。
「ん……」
ああ、どうしよう、待てない。
ドアを隔てた向こうでは来訪の真っ最中だというのに……。
「――ウチは結構です!」
松本は珍しく声を荒げてぴしゃりと言い放つとやっとのことで新聞勧誘を追い払った。
「久也さん、待たせてごめんなさ、い……」
仕切りのドアを開いた松本は久也を見下ろすなり一時停止に陥る。
理性と肉欲の狭間で葛藤した末、快楽の囁きに負けた久也は、正しく自慰の最中で。
戻ってきた松本を潤んだ目で見上げると「す、すまない……」と眉根を寄せて色っぽい顔つきで謝ってきて。
ああ、俺ってば久也さんに「放置プレイ」なんてものを。
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