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「やっぱり似合わないだろう?」 わざわざ前もってカーテンを閉め、風に吹かれて捲れないよう窓まで閉め、久也は洗面所でガーターストッキングを履いてきた。 ベッドで胡坐をかいて待ち構えていた松本の微妙な表情に怒るでもなく、彼は、失笑した。 「君の妄想を台無しにしたようで申し訳ないが。妄想はあくまで妄想として脳内に留めておくべきだったな」 いや、確かに残念なカンジがするのは否めませんが。 それって多分着こなしのせいだと思うんですよね、久也さん? そう。 久也は松本に借りている服装にストッキングを合わせていた。 アンバランスで浮くのは当然だ。 「久也さん、いっそ、服全部脱いでくれません?」 「……勘弁してくれ」 ああ、断られちゃった。 どうしよう、せっかく履いてくれたのに、もったいないっていうか、活かされてないっていうか。 「もう脱いでいいな?」 久也が回れ右をしてさっさと洗面所に向かおうとする。 切羽詰まった松本は慌てて久也を呼び止めようとし、視界に過ぎったそれに、はっとした。 「そうだ、これ、着てください!」 「……こんなの、もっと変じゃないか」 再び洗面所から出てきた久也。 呆れている久也に対し、松本は、ベッドから身を乗り出して首を左右に振る。 「完璧です、久也さん」 松本から借りていた服を脱ぎ、久也は、自前であるストライプのワイシャツを着ていた。 下はボクサーパンツだけ。 シャツのボタンを下まで閉めているので角度によっては何も履いていないように見えなくもない。 シンプルな無地の黒ガーターストッキングとシャツの間に覗くは、そう、絶対領域。 白い太腿がいつにもまして、おいしそ……滑らかに見える。 「ね、こっち来て?」 先程とは打って変わってはしゃぐ松本の様子に久也は首を傾げるばかりだ。 さっきと何が違うのか、さっぱりわからない。 兎にも角にも慣れないストッキングの履き心地に戸惑い、早く脱いでしまいたいというのが本音だった。 「久也さん」 しつこく名を呼ぶ松本にため息をつき、久也は、彼の隣に腰掛けようとする。 「違いますよ」 いきなり腕をとられたかと思うと。 久也は松本の膝上に向かい合わせに座らされた。 急な密着に目を見張らせる久也を至近距離から覗き込んで、松本は、嬉しそうに笑う。 少々危なげな熱に浮かれた眼差しで。 「俺、もう駄目」 「え?」

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