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「ちひろ」 誰かが呼んでいる。 誰だろう? 俺、眠いのに。 起こさないでくれる? 最近、寝不足だったんだよね、俺。 ……どうして寝不足だったっけ。 ……あれ、何か、おかしくない? 「千紘君」 松本は目を開けた。 白っぽい天井が視界に写り、見覚えのない光景に眉根を寄せる。 ……どこ、ここ。 ……これ、何の匂い? ……このアナウス、どっから聞こえてくるの? ……。 ……。 あれ、俺、結婚式で友人代表としてスピーチ読むんじゃなかったっけ? 「千紘君、起きたのか?」 松本は何度も瞬きした。 眼球をきょろりと動かし、寝台のすぐそばに座る久也を見つけ、また忙しなく瞬きする。 「……ひさやさん?」 舌足らずな呼びかけに久也は微笑した。 ワイシャツにネクタイ、肘まで袖がたくし上げられて、額には汗。 細い手首が虚空に翳されたかと思うと松本の額にゆっくりと届いた、その掌。 「ここは病院だ」 「……びょういん」 「貧血で倒れて運び込まれたんだ」 「……」 「救急車でね」 ベッドサイドに座る久也の反対側には点滴台が置かれている。 「……まじで」 自身が点滴中であることに驚いた松本を見、久也は、微笑を深めた。

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