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松本はとりあえず深呼吸した。
奉仕をやめて、手を離すと、ペニスと掌が粘液の糸で繋がった。
その手を今度は乳首に伸ばす。
滑りを丹念に塗りつけて、指の腹同士で、挟み込む。
小さな突起をこりこりと解す。
「ふぅ……ん」
丁度いい顔の近さだったのでキスをした。
尖らせた舌先を結び合わせるかのように絡ませて、恥ずかしげもなく次から次に唾液を滴らせる。
「ぁ……っはぁ……ぁ……っ」
火照った吐息を微熱と共に交換した。
ピストンを中断していながらも継続される肉膜の貪欲な食いつきにペニスは当然硬度を保っている。
どちらかが身じろぎするだけで、ぎちゅっと、肉奥が鳴る。
「んんん……っ」
キスするにはつらい体勢なのだろう、久也は声を詰まらせ、自ら顔を離した。
ああ、今、もっとキスしたい。
その唇に甘えたい……。
「……ねぇ、久也さん?」
「……ん……」
「こっちに……体、向けれる?」
久也も同じ気持ちでいてくれたのか。
彼は難色を示すことなく、非常にぎこちない身のこなしではあったが、下肢を繋げたまま体位の移行に至った。
松本の補佐を借りて、支えられながら、恐る恐る。
二人の正面が重なる位置にまでやってきた。
顔を合わせるなり、どちらからともなく、口づけた。
息継ぎも疎かに。
呼吸を忘れたかのように。
ずっと久也さんのなかにいる。
上昇しっぱなしの熱で本当にとけてしまいそうだ。
松本は久也の双丘を抱き寄せた。
突き入れていたペニスで強めの刺激を連続して送り込む。
「ふぁ……あっ……ちひろ、くん……っ」
極まる寸前でいる久也を布団に押し倒し、脇腹に両足を担いで、両肘を突いて。
絶頂に向けて疾走さながらの律動を繰り広げる。
久也さん、久也さん。
上擦る呼吸しか吐き出せない松本は胸の内で何度も呼号した。
背中に食い込む久也の爪先にすら欲情する。
迫りくるその一瞬に全身をひくつかせて、喉を反らし、自分に身を委ねて色めく姿にも。
久也さん、好き。
大好きです。
肌身離さず、貴方のこと、抱いていたい。
ねぇ、久也さん?
俺のこともずっと抱いていてね?
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