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 今日は、3限まで授業でそれからバイトだった。バイト先でも「なんだか梓乃、機嫌いいね」なんて言われてそんなに俺は顔に幸せオーラがでているのかと苦笑してしまった。その日のバイトは楽しい気持ちのまま終わらせることができて、俺は家に帰ってきてからも上機嫌だ。  バイトがある日は家に帰るのが十時近くになって、父さんと紗千なんかはもう寝ている。俺は母さんにただいまだけを言ってシャワーを浴びて、そして部屋に戻ってベッドにダイブした。 「……」  そして、いそいそとかばんからあるものを取り出す。バイト帰りに受け取ってきた、コンビニ受け取りに指定した通販の商品だ。中にはいっているのは、ローションとディルド。もちろん、お尻の穴を拡張するのに使う。ディルドまで使ってそんなことをするのはもはや健気を通り越してただの変態なような気がするけれど、そんなこと気にしない。智駿さんに嫌われたくないから。  指だけだと、どうにも不安なのだ。やっぱり指は三本使っても太さなんてそんなにないし、奥まで届かない。だからアダルトグッズを使おうと思って、とうとう通販で注文してしまった。 「うわー……」  ディルドのパッケージをあけてみる。パッケージには下世話な週刊誌のような字体で「巨根丸」と書いてあって、なんだか笑えてきてしまう。そして中からでてきたディルドもまた、すごい。適当に一番売れていたディルドを買ったのだけれど、色が妙にリアルでグロテスクだ。筋とかまできっちりかたどられていて、思わず「ひゅー……」なんて小さく称賛の声をあげる。 「はあ……」  何やってんだ、俺。そう思いながらもさっそく俺は服を脱いだ。そして、ローションを手のひらに垂らして、そのままディルドをしごいてみる。 「……」  ぬちゅ、ぬちゅ、と適当に手を動かしているだけでもいやらしい音がする。指でオナるときよりも、なんだかどきどきしてきた。いやらしい気分になってくる。  まんべんなくディルドにローションを塗りつけて、そして指で軽くお尻をほぐして、横になった。どきどきしながらディルドの先っぽの部分を穴にあててみる。 「んっ……」  その瞬間、お尻の穴がきゅっと締まった。奥のほうがきゅんとなったような気がする。入り口のあたりが、気持ちいいかもしれない。俺はディルドの亀頭でローションを塗りたくるように入り口をくりくりと撫で付けてみる。 「は、ぁ……」  ぬるぬる、ぬるぬるとディルドの先端が俺のお尻の穴を撫で回す。刺激で感じているというよりは、そのいやらしさで奥がきゅんきゅんしてきた。あ、これもしかしてなかでイケたりするかな、なんて思ってドキドキしながら、ゆっくりとディルドをなかに埋めていく。 「っ……」  みち、と強烈な圧迫感を感じた。若干、痛みがある。でも切れてるとかそんな感じはしなくて、ゆっくりゆっくり押し進めていけば、最後まで挿れることができた。案外はいるもんだ、と思って安心する。この程度の痛みなら、全然耐えられそうだ。最後まで挿れてしばらくじっとしていれば、痛みも薄れていって一気に疲れが押し寄せてくる。なかに太いものを挿れる緊張感でいつのまにか身体が強ばっていたみたいだ。 「はあ……」  ため息をついて、身体を横に向ける。一応、「智駿さんに会う前にお尻の穴を拡張する」という目的は達成だ。これで智駿さんとのエッチで痛がらずにすみそうだ。なんだか気が楽になって、リラックスした気持ちで俺はゆるゆるとディルドを抜き差し初めてみる――が、そのとき。 「……!」  スマホのバイブレーションがなる。……電話だ。すぐ手に届くところにあったため、俺は仕方なく画面を確認して……思わず変な声をあげてしまった。 「ち、智駿さん」  画面に表示されていた名前は、智駿さんだった。たった今、俺、あなたとのエッチに備えてお尻にディルド突っ込んでんですけど! と頭のなかがわーっとなりながらも無視なんて当然できるわけもなく、ディルドを突っ込んだまま俺は電話に出てしまう。 「も、もしもし!」 「もしもし、梓乃くん。ごめんね、夜遅くに」 「い、いえっ……あ、」  智駿さんの声を、聞いた瞬間だ。ぎゅんっ、とお尻のなかが締まった、気がする。びくんっ、と足がこわばって、小さく腰が跳ねてしまった。 ――な、なんだこれ。 「これといって用事はないんだけど……ちょっと声が聞きたいなあ、なんて」 「えっ、えっ……えっと、俺も……智駿さんの声……ききたか、った……です……」 「ふふ、嬉しい」 (あっ……)  耳元で、智駿さんの声。吐息までご丁寧にスピーカーは拾って、俺にダイレクトにその音を伝えてくる。ぞくぞくしてしまって、身体の奥のほうがじんわりと熱くなってきた。やばい、そう思うのに俺の手はディルドをぐっと奥まで突っ込んで、先端で奥をごりごりするように掻き回す。 「……ッ、ひ、ぅ……」 「? 梓乃くん、どうかした?」 「あっ……なんでもないです……!」  智駿さんが、とりとめのない話を電話越しにしてくれる。俺は智駿さんと話しているというそれだけの事実で胸がいっぱいいっぱいになって、まともに話をできなかった。  そして、話を聞いている間に、無意識に手を動かしてしまう。せっかく智駿さんが電話をしてくれているのに何をしているんだ、と自分が情けなくて仕方なかったけれど、手が止まらない。気持ちよすぎて、ぐちゅぐちゅとディルドを抜き差ししてしまう。見てみれば、勃起もしていた。いつもはお尻に指を突っ込んでも勃ったりしなかったのに。今、智駿さんの声を聞きながらディルドをお尻に突っ込んで、それだけで触ってもいないチンコが勃っている。 「……っ、……、……ッ、」 「そうだ、日曜、会えそう?」 「……、はい、……もちろん……っ、ふ……」  必死に唇を噛んで、受け答えをする時以外は声を出さないように必死になった。じくじくと快楽が身体のなかに蓄積していく。こんなに気持ちいいの、初めてだ。チンコでオナるのとは、全然違う。女は男の7倍感じるとかいうけれど、それはマジっぽい。これはやばい。本気で気持ちいい。頭が真っ白になる。お尻のなかからありえないとはわかっているけれど愛液とかそんなものが溢れだすような、そんな感覚。チンコからは透明な液体がたらたらと出ていて、いつものオナニーと全然違くて、ほんとうに、ヤバイ。 「よかった。じゃあ、次会えるの楽しみにしてるね」 「……、俺も……」 「おやすみ、梓乃くん。……好きだよ」 (イク……もうだめ、イク、イク……ッ) 「俺も……だいすき、です……おやすみなさい……」  「好き」、そう言われた瞬間に我慢していたものが一気に溢れ出しそうになった。ゾゾゾッ、と何か恐ろしいものが這い上がってくるような感覚を覚えて、俺はぎゅっと身体を縮込める。でも……ぷつ、と電話が切れた瞬間、その波が静かに引いていってしまった。ものすごい喪失感に襲われて必死にディルドを動かしたけれど、智駿さんの声が途切れた瞬間俺の興奮がすうっとひいていく。いまだきゅんきゅんと奥の方は疼いているけれど、さっきみたいなすさまじい快楽はもうやってこない。 「智駿さん……」  ああ、これ、俺……智駿さんに触ってもらわないと、イケないんだな。この身体、智駿さんじゃないとイかせることができない。  ディルドを抜き差ししながらチンコをしごいてようやくイケた俺は、吐くほどにあふれる智駿さんへの想いに、胸が押しつぶされそうになった。

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