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 その日のバイトは、どうにもうまくいかなかった。大きな失敗なんかはないけれど、小さなミスばかりしてしまった。店長が「熱でもあるの?」と心配してくれたけど……ある意味、熱がある。  ふとした瞬間に智駿さんとのエッチな行為を思い出してぼんやりとしてしまうのだ。普通に女の子としたときとは全く違う快感。乳首をつままれてコリコリされて、お尻に指を挿れられてくちゅくちゅと掻き回されて……身体がいうことをきかなくなってビクンビクンと震えて、それでも智駿さんは責めてきて……。ちょっと思い出すだけで身体が熱くなる。お尻のなかがヒクヒクと疼いてじわっと全身がいやらしい感覚に包まれて、また智駿さんにいじめられたい……そんなことを考えてしまう。  これは、やばいかもしれない。普通の生活が難しいくらい、智駿さんとのエッチな行為の余韻が後を引いている。「色気ムンムン」なんて言われたのは、智駿さんにいじめられた余韻に浸っていたからだと思う。もう俺の全身からそんなものがでてしまうくらい、俺は智駿さんに支配されちゃっているみたいだ。このまま智駿さんに開発されまくったら、もっといやらしいからだと頭になっちゃうのかな……そう思うと、期待もいっぱいだけれど、色々ヤバいとも思った。 「……梓乃、なに? 彼女できた?」 「えー……彼女できたっていうか、」  伊澄はやっぱり俺の様子が気になるようだ。まともに仕事ができないうえに他人から察されるとか、俺、智駿さんのことでいっぱいになりすぎだ。 「梓乃ってそんなに顔にでるタイプだっけ? 今回の人のこと相当好きなんだ?」 「えっ……う、うん」  たしかに、俺は今まで彼女ができても惚気もしなかったし、こうして頭の中が四六時中その人のことでいっぱいなんてこともなかったし。こんなに好きで溢れてしまうのなんて、初めてかもしれない。どうして、なんて聞かれてもきっと答えられないけれど……運命ってやつなのかな。 「はーっ、幸せそうな顔して! はいはいお幸せに!」 「そ、そんなに顔にでてる⁉」 「そりゃあもう。腹立つくらい」 「う……」  運命って思うとなんだかたまらなく嬉しい。まあでも、ここまで顔にでるのはよろしくないし、なんとかしないとだけれど。

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