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「……ん?」  電子音のアラームで目を覚めて、俺は枕にうつ伏せになりながら腕を伸ばす。ようやくスマホを見つけて手探りでアラームを止めた。彰人の家に泊まった日には、いつもよりも余裕を持ってアラームをかけている。彰人がだらだらとしていて支度が遅いため、それに合わせて学校に遅刻しないようにかけているのだ。  だから、もうちょっと寝れる……そう思って、違和感を覚える。布団の中に、誰かいる。俺はハッと目を開いてその正体を確認して、 「……あ、彰人」 「おはよー、梓乃ちゃん」  驚愕した。昨日はたしかベッドに入って寝ていたはずの彰人が、なぜか俺の布団にはいってきている。寝ぼけてベッドから転がり落ちたにしてはきちんと布団をかぶっていて、これは意図的に入ったように見えるけれど…… 「梓乃って抱き心地いいねー、抱きまくらにすると気持ちいい」 「う、うわああ!」  案の定、きちんと意識があるなかで入ってきたらしい。俺は慌てて布団から転がり出て、奴から逃げるようにして部屋の隅っこに飛んで行く。 「お、おまっ、こ、怖いから!」 「怖い?」 「……忘れてるのかよ、昨日の、」 「……覚えてるけど?」  彰人は体を起こすと、布団の上にあぐらをかいて頬杖をついた。そして、その唇は弧を描く。 「めっちゃ可愛かったね、昨日の梓乃ちゃん」 「……ッ」  彰人が、立ち上がる。にこにことしながらそのまま近づいてきて、俺は腰を抜かしてしまって逃げられなかった。まってこいつマジで男に目覚めたの、なんで、ってパニックになって色々と言いたい言葉は喉で絡まって出てこない。気づけば彰人はぐっと近づいてきていて、座り込む俺を、自分の腕と壁の間に閉じ込めてしまっていた。 「梓乃ちゃんさー……」 「ち、近い!」  彰人が顔を近づけてくる。ぎょっとして手で押しのけようとすれば、手首を掴まれて壁に押し当てられ、動けなくされてしまった。慌てる俺を横目に彰人は俺の首元に顔を埋めて、息を吸い込む。 「最近何かあった? フェロモンみたいなのでてるよねー、いい匂い」 「ねーよ、嗅ぐな!」 「ほんとー? 前さ、恋人できたみたいな素振りみせてたけどさ、それ、男だったりしない?」 「……えっ」  俺の匂いを嗅いでいた彰人が、顔をあげる。なんで言い当てられたのかわからなくて固まる俺を、にやにやとしながら見つめてきた。そして、彰人は顔の位置を下げていって、服の上から俺の乳首に唇を押し当てる。 「昨日あーんなに乳首で感じちゃってさ、もしかして彼氏さんに開発とかされてない? おまえさ、ほんと最近の雰囲気やばいよ」 「な、なんだよ、雰囲気って、」 「俺みたいなオスを魅了しちゃうメスのフェロモン~! 梓乃ちゃん、女の子みたいに抱かれたりとかしてるでしょ。なんとなくわかるな~俺、恋愛の達人だから」 「わけわかんない、……あっ……!」  じゅっ、と彰人が乳首を吸い上げた。服に唾液がついてしまうのなんて、御構い無し。ちゅーって強く吸い上げてきて、そのまま舌先で乳首の先をさすさすと擦られる。 「あっ、あぁっ、」 「乳首勃ってきたね」 「ふざけ、」 「彼氏さんにいつも触ってもらってるの? 」 「な、なんなんだよもう……あぅっ……んぅっ……やめっ、……あっ……」  直に触られるのと違って、布が擦れて刺激が強い。ゾクンゾクンとしてしまって、腰が勝手にガクガクと震えてしまう。智駿さん以外の人に感じさせられるのなんて嫌なのに、俺の身体はすっかり開発されているせいで感じてしまっている。彰人がこりこりに勃った乳首を甘咬みしてきたときには、たまらず一際大きくて甲高い声をあげてしまった。 「あのねー、梓乃ちゃん。一言いっていい?」 「あっ……あぅうっ……!」  彰人が俺の手を解放して、両方の乳首をぎゅっとつまみあげる。智駿さんと違って結構強めに引っ張ってきて、慣れない強烈な刺激に俺の身体は一気に限界まで達してしまう。解放されたというのにあまりの快楽に動けない。彰人はそんな俺をみて意地悪そうに笑っていた。 「このすっごいエッチな身体さ、結構危ないよ。もうちょっと気をつけて。他の人にも襲われちゃうかも」 「なっ……あぁっ……そんな、ありえなっ……」 「いやいや俺に襲われておきながらそのセリフないっしょ! 俺だってホモじゃないけど梓乃ちゃんにムラムラしちゃったから!」 「む、ムラムラ、するなっ……!」  彰人にムラムラとかされてたまるか、わっと浮かんできた拒絶に俺は反射的に足がでる。完全に油断していた彰人の股間に蹴りをいれやれば、奴は目玉をひんむいて吹っ飛んでいった。  声にならない悲鳴をあげながら、彰人は俺を恨めしげにみつめてうずくまる。どう考えてもおまえが悪い、というのは置いておいてちょっと強く蹴りすぎたかもと反省していれば、彰人はびっと俺を指さした。 「あのね、マジで最近の梓乃ちゃんエロいからね! そこらへん歩く時は気をつけろって、まじ、襲われるから!」 「ねーよとりあえずおまえは金輪際こういうことすんなよな!」 「ほらその油断が~! あと俺は梓乃ちゃんのこと諦めません!」 「あぁ!?」  諦めない、って何を言っているんだこいつは。俺が唖然としていると、彰人は股間をさすりながら立ち上がった。「遅刻するから学校いこうぜ~」と平然と言われて、ついさっきまであんなことをしておいてなんでもない顔でいる彰人の適当さにさすがの俺も驚いた。

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