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ラブホに入るのは、初めてだ。正直ラブホにはヤるためだけにチャラついた若者がくる場所っていうイメージがあったから、意外にも綺麗な内装に驚いた。まるで、普通のホテルみたいだ。ただフロントには噂に聞いたとおり人はいなくて、「ラブホに来た」感が沸々と湧いてくる。
「あ、あの……智駿さん……今日は、なんで家じゃなくて、ここなんですか……?」
「んー?」
エレベーターの中で、手を繋がれながら俺は尋ねてみる。
ラブホは嫌ってわけじゃないけれど、いつもは使わないのになんで今日に限って、って思ったのだ。エレベーターのランプが次々と上の階を照らしていってこれから向かう部屋に近づく度に、心臓が高なってくる。いつも智駿さんの家にいくときにドキドキしないわけじゃないけれど……今日は、「エッチをするための場所」へ向かっているのだ。いつもとはまるで雰囲気が違う。
「ここだったら、梓乃くんのこといくらでも鳴かせて大丈夫でしょ?」
「へっ……」
「悪い虫に喰われた梓乃くんには、きつーいオシオキをしてあげなくちゃ」
オシオキ、って言葉にドキッとしたとき、エレベーターが目的の階についた。エレベーターを降りて、部屋に向かって――扉を開ける。
かあっ、と体が火照ってきた。扉をあければそこにあったのは、部屋の中央に置かれたダブルベッド。ここまでの雰囲気が普通のホテルっぽいなと思っていたけれど、部屋の中は「THE・ラブホ」だ。どことなくギラギラとした雰囲気に俺が落ち着かないでいれば、智駿さんが腕を掴んでくる。
「まあ……梓乃くんが浮気をしたなんて思っていないよ」
「あ、あたりまえじゃないですか……!」
「ただ、簡単に他の男に触らせるなんて、ちょっと注意が足りてないんじゃないの? 僕はね、あんまり束縛とかはしたくないんだけど……でもね、梓乃くんのこと好きでしょうがないから、どうしようもなく虫酸が走るんだ、梓乃くんが他の男に触られたってことに」
腕を引っ張られて、浴室まで連れて行かれた。智駿さんが俺のことを疑っていなくてよかった……そう思ったと同時に、自分の脇の甘さで智駿さんに不快な思いをさせたのだと、自戒の念に囚われる。
「智駿さん……ごめんなさい……」
「わかる? 梓乃くん。だから、これは梓乃くんへのオシオキだよ」
「は、はい……」
浴室は、ガラス張りだった。いかにもな雰囲気にドキドキとしていれば、カーディガンだけを脱がされて、シャツは着たまま中に連れ込まれてしまう。
智駿さんのじっとりと熱を含んだ言葉、そしてどこか乱暴な行動。このまま本当に智駿さんのものにされて、そして縛り付けられて、死ぬまで逃げられないようにされそうで、ゾクゾクした。
「梓乃くん。僕はね……君を独占したいの。僕だけのものにしたい」
壁に背を押し付けられて、ざあ、とシャワーをかけられる。シャツを着たままかけられているから、すぐにずっしりとシャツが重くなっていった。じっと俺を見下ろす智駿さんの瞳が冷たくて熱くて、アソコがじわりと熱くなっていく。
「梓乃くん。どこをどう触られたの?」
「……っ、む、胸を……」
「胸? もっと具体的に」
「……、ちくび、を……引っ張られたり、……つねられたり、」
「へえ? それで? 梓乃くんは?」
「……い、イきました……」
「……はは、腹立つなあ」
「あぅっ……」
乳首にシャワーヘッドを近づけられて、思い切りお湯を乳首にあてられる。濡れたシャツがツンと勃った乳首に張り付いて、ポコンと浮き上がっている。そこに、シャーッ、と強い水流を当てられてそれだけで感じてしまった。そうして水流をあてられたままきゅうってつまみ上げられたから、思わずカクンと腰が砕けそうになる。
「違う男に触られたところ、綺麗にしないとね。それから梓乃くんのエッチな身体に、僕に触られた時が一番気持ちいいって覚えさせないと」
「あっ……あぁっ……」
「ほら、ちゃんと覚えて? これが僕の梓乃くんの乳首のイジメ方」
「やあぅ……あぁっ……ちはやさんの、触り方……あっ……きもちいい……あぁあっ……」
ぎゅーっと乳首を引っ張りあげられて、その乳頭に水流をあてられる。どんどんアソコが熱くなってきて下半身がガクガクとしだして……「イク、……イク……」って俺がぼやけば、智駿さんはふっと笑った。
「勝手にイかないで? ほら、次……こっち綺麗にするからね」
「やぁっ……」
ズボンも下着も脱がされて、片脚を持ち上げられた。大きく開かれたアソコに、智駿さんがシャワーをあててくる。
「だめっ……ちはやさっ……こし、がくがく、……たてなく、な……」
「だから? ここも触られたでしょ? 綺麗にしないと」
「あぁっ……だめぇ……」
アソコにシャワーをあてられると、一気に腰の力が抜けていった。片脚を持ち上げられているから尚更崩れ落ちそうになったけれど、きっとそれを智駿さんは許さない。俺は必死に壁を掴んでガクガクの脚で立っていた。どんどんアソコが熱くなっていって、本当にもう立てなくなってきて、ぷるぷると首を振ってみる。本当にこれ以上シャワーをアソコにあてられたら、イッて崩れ落ちてしまう……そう思って必死に智駿さんに許しを請うた。
俺の息が荒くなっていって、半泣きでいたからか、智駿さんは「仕方ないなあ……」と言ってシャワーを止めてくれる。上げられていた脚を下ろしてもらった瞬間、俺は智駿さんに抱きついた。腰がガクガクして座り込みたかったけれど、それよりも目の前の智駿さんにしがみつきたくなったのだった。
「まだ全然始まったばかりでしょ、梓乃くん」
「んぁっ……」
でも、智駿さんはいじわるで。俺を引き剥がすと、今度は胸を壁にくっつけるようにして押し付けられる。そして、腰を突き出すような格好をとらされた。
「なかに、挿れられたり、した?」
「ゆ、ゆび……」
「それでも、イッたんだ?」
「……ごめんなさい……あぅっ……!」
ぱし、と軽くお尻を叩かれる。上半身に張り付いたシャツの裾からはみ出た、お尻をぱしりぱしりと、何度も。強くは叩かれていないから痛くはないけれど、お尻を叩かれることそのものに興奮してしまって、俺の腰は揺れていた。
濡れたシャツからしたたるお湯が、太ももを伝ってゆく。立っていることが辛くてガクガクと震える脚に、つーっと。その感覚がまるで愛液が伝っているようで、ものすごくいやらしい。
「んぅっ……あぅっ……」
「まったく、梓乃くんの身体は敏感だから……でもね、梓乃くんのここ、僕だけのものなんだよね」
「んぁあ……!」
ずぶっ、と指を挿れられる。智駿さんはなかをぐっちゅぐっちゅとかき回しながら、お尻を叩き続けてきた。卑猥な水音と、お尻を叩かれる音。俺を責め立てる音が浴室に響く。立ちながら責められるって苦しい。腰が砕けて立っていられないのに、座り込むこともできない。ガラスの壁に身体を擦り付けて、引っ掻くように手で壁を掴んで……必死に体勢を維持する。
「こうやってなかを掻き回すと、欲しそうに腰を振っちゃって。これ、白柳の前でもやったの?」
「……っ、すみま、せ……」
「悪い子だなぁ」
「んぅッ……!」
ぱしん、って少し強めに叩かれて、指を三本に増やされた。前立腺をごりごりされて、ほんとうに脚ががくがくしてくる。チンコからはエッチな汁がどんどん溢れてきていて、下半身はびしょびしょ。立っているのがほんとうに辛くて、許しを請うように額をガラスに擦り付けて首を振ったけれど、智駿さんが許してくれるわけがない。
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