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「ちはやさん……寂しいです」  エッチが終わって布団の中で微睡みながら、俺は智駿さんに甘え倒していた。いっぱいエッチをしたあとだったからか、頭の中がぼーっとして、ひたすらに智駿さんの鎖骨を甘噛みする、なんて意味不明な行動をとりながら。 「そんな、二週間だけだから。大丈夫だよ。電話くらいならしてもいいでしょ?」 「はい……でも、声だけじゃ、足りない……」 「ん、エッチしたいの?」  智駿さんの問にこく、と俺が頷けば、智駿さんがくすくすと笑った。エッチしたいなんて言うの、すごく恥ずかしかったけれど、本当だから仕方ない。最近頻繁に会って、最後まではやらなくてもエッチなことはいつもしていたから、それを二週間お預けにされるって考えると憂鬱になってくる。俺、もう智駿さんなしじゃ生きていけない身体になってしまったみたい。  でも、こればかりはどうしようもない。会えないものは会えないし、我慢するしかないのだ。俺が意気消沈して智駿さんにぐりぐりと頭を擦り付けると、智駿さんがそんな俺の髪の毛を指先で弄びながら笑う。 「一人エッチするならその時に電話かけてきていいよ」 「へっ……」 「梓乃くんの声、聞かせてくれたら嬉しいな。この前使った道具もよければ貸すけど」 「……っ」  また、とんでもないことを提案してくる。でもそこで、「それもいいかも」とか思っちゃう俺は、少しおかしいかもしれない。オナニー実況中継とか変態にもほどがあるけれど……智駿さんと少しでも繋がっていたいから、したい。 「俺、ひとりのときはそんなに声、だしませんよ」 「うん、いいのいいの。電話の奥で梓乃くんがしてるっていうのが、なんかいいなーって」 「……変態ですね」 「でも、こんなこともしてくれる梓乃くんが好きだよ」 「だって……俺も、したい」  馬鹿だなあ、なんて思うけれど。これで、幸せなんだからそれでいい。エッチなことばっかりだって、俺は精一杯に智駿さんが好きなんだ。

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