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「どうだった、梓乃ちゃん!?」
問題の教科が終わってから数日後。成績発表はまだ先の話だけれど、この教科は成績発表の前に成績不良の生徒にのみ教授からメールがくるらしい。メールがきた生徒はメールに記載された課題を提出すれば、赤点を免れることができるという仕組み。だいぶ優しいというか面倒見のいい教授だけれど、そのメールは生徒にとって恐怖のメールだ。
そして、そのメールが俺のもとに来たのかというと……
「メール、きませんでした!」
「お、おめでとう梓乃ちゃん!!」
こなかった。俺は無事、赤点をとらずにすんでいたみたいだ。俺の言葉に彰人も喜んでくれたみたいで、ぎゅっと抱き着いてくる。
俺のマクロ経済学の苦手っぷりを知っていた彰人だから、ここまで喜んでくれているんだと思う。こうして祝ってもらえると嬉しくて、俺も彰人のノリに合わせて抱きしめ返した。
「うおっ、梓乃ちゃんのぎゅっ、可愛いね」
「可愛いとかいらない」
「ついでにちゅーもください!」
「何言ってるの?」
にやにやと変な笑い方をしている彰人から離れれば、彰人は残念そうに唇を歪めた。でも、またすぐにだらしない笑い方をして、俺の肩を叩いてくる。
「よかったね、無事浴衣エッチできるね」
「花火大会、いくの楽しみだー」
「浴衣エッチの詳細教えてね。マクロ教えてあげたお礼としてさ!」
「……」
ともかく、花火大会は無事いけることになった。たぶん目に見えてうきうきしていたのか、よく事情をわかっていないすれ違った友達も「よかったねー」なんて言ってくる。
とにかく、俺は花火大会の日が楽しみで仕方なかった。
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