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俺が智駿を好きか。問われれば俺は迷わずに答える。「嫌いだ」、と。じゃあ智駿は俺の友達か、と問われれば? 「たぶん友達」って答える。俺がアイツを友達と思っているのは、アイツが俺の青春ど真ん中の時期に一番深く関わっていた奴だから。お互いをあんまり好いていなかったのに――なぜか、側にいた。
忘れもしない、高校時代。
制服は学ラン、通学は自転車。田舎の田んぼ道を風をあびながらペダルを回して学校にたどり着き、桜の花びらの洗礼をうけて新学期を迎えたあの日。
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「げっ……なんでおまえこのクラスにいんの!?」
新学期、今年から勝負の年、高校三年生。高校最後のクラスはどんなもんだろうとワクワクして扉を開けた俺を迎え入れたのは、信じたくない光景だった。
「……白柳、同じクラスなんだ」
「智駿おまえ専門いくって言ってなかったっけ? ここ理系クラスだけどォ!?」
「男子多いほうが楽しそうでしょ」
「そんな理由!?」
入学式で隣の席になり、それからずっと同じクラス。球技大会なんかではそれぞれ出場する種目のキャプテンをやってお互いのチームの勝ち点を競ったり、文化祭ではどっちの作った焼きそばが多く売れるかを競ったり。しょうもないことで対立してる、俺と相性最悪な奴・花丘智駿。進路によってクラスの変わる三年生では、専門にいく智駿と国立医学部を目指す俺では絶対に違うクラスになると思ったのに、やっぱり一緒になってしまった。
なにがそんなに気にくわないと問われればはっきりとは答えられないけれど、とにかくウマが合わない。物腰の柔らかい正統派イケメンと俺みたいな自由奔放な男はそう相性が悪いことはなさそうだけれど、顔を合わせれば喧嘩ばかりの関係だった。
「と、とにかく……今年はあんまり構ってくるなよな」
「……こっちのセリフ」
今年は受験の年。無駄な喧嘩なんてしている場合じゃない、それはお互いにわかっていた。だから、今年はこいつと関わることも少ないだろう……俺はそう思っていた。
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