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「……っ」  レンタルショップにはいって、白柳さんは迷わずに例のカーテンを潜りぬけていった。もちろん俺も連れて行かれる。  カーテンを抜けた先は、18禁コーナー。目が回るような過激なパッケージがズラッと並んでいて、俺は目を白黒とさせてしまう。俺はそういったものはネットの動画で見るタイプだから、こうしてDVDなんて借りたりはしないのだ。 「あれ、固まってる。エッチ大好きなくせにウブだね~梓乃くん」 「う、うるさ……」 「いやいや智駿の好み教えてやろうと思って。今後のエッチに役立てればいいかなー、と」  白柳さんはニヤニヤとしながらDVDを手にとって俺の目の前にもってくる。俺はさっと目を逸らしながらも悲しい男の下りには逆らえず、ちらっとDVDを確認してしまう。 「お、おお……」  突き付けられたのは、なんとも艶めかしいパッケージのDVD。熟女というわけではないけれど、フレッシュな若い女優というわけでもない。ふっくらとした胸をしていて丸みのある体は、いかにもエロそうな雰囲気の女優だ。 「智駿はー、きゃんきゃん喘ぐ可愛いタイプの女優じゃなくて、こう……大人っぽい女優が好きみたいでな」 「っていうか智駿さんもやっぱりそういうの見るんですね……」 「いやぁ、あいつにDVD何枚か押し付けて感想きいたらこういう奴が良かったって言ってたからさ。あいつ女に不自由してなかったし自分でDVDとかは借りないかもねェ」  智駿さんがどんな女優を好きでも流石に嫉妬とかはしないけれど、思ったよりエロいのが好きそうでドキドキしてきてしまった。俺が自分で選ぶなら可愛いタイプの子を選ぶから、自分のなかの「エロい」とギャップがあって新鮮に思える。 「あとこれとかもアイツ好きそうだなー、よし、じゃあうちで鑑賞会しましょうか」 「……ん?」 「いや、だからうちで。梓乃くん、うちにおいで」 「はは、冗談キツいですよ」  白柳さんの持っているDVDには興味があったけれど、一緒にみる必要性はまったくもってない。だから、俺は白柳さんのふざけたお誘いを丁重にお断りしようとしたけれど、白柳さんはそんな俺を無視してさっさとカウンターに行ってしまう。 「いや、だからいきませんってば!」 「大丈夫大丈夫、襲わないから。AVみてオナってる梓乃くん観察したいだけ」 「人前でするわけないでしょ!」 「人前じゃなかったらするの?」 「……」  しばらく行く行かないと言い合いをして、ようやく白柳さんは諦めてくれたようだ。しかし、まだ白柳さんは悪い顔をしている。 「じゃあ面白いところあるからそこだけついてきて」

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