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pont-neuf~十字の橋とフランボワーズ~

「明日ねー、彼氏と旅行いくんだー!」  一限の講義が終わった瞬間に瑠璃が発した言葉がこれである。朝から惚気は結構です、と俺と彰人の男性陣は「へー」と棒読みな返事をしたけれど、彩優は違かった。目をきらきらと輝かせて、前のめりになって瑠璃に詰め寄る。 「えっ、いいなあ! どこいくの!」 「ディヅニーとついでに東京観光!」 「うわっ、でたディヅニー! 彼氏とディヅニーとか憧れるな」  女友達が彼氏と何をしようが、正直興味がない。俺は耳に入ってくる惚気を右から左に流しながら、自分が智駿さんと旅行にいくならどこだろうと考えていた。東京観光……なかなか楽しそうかも。ディヅニー……ないわー、なんて色々と。 「俺恋人と一緒にいくならもっとのんびりしたいわー」 「えー? 彰人とか一番ギャーギャーうるさそうなのに。意外」 「騒がしいところそんなに好きくないんだよね」  俺の横で、彰人が女二人の会話に横槍をいれている。やっぱり俺は、当たり前ではあるけれど男の感性のほうが共感できるようで、彰人の言葉に思わず頷いてしまった。俺も、智駿さんと旅行にいくならテーマパークとかにいくよりも静かなところでゆっくりと過ごしたい。 「俺は旅行いくなら温泉がいい! 近場でもオッケー!」 「……温泉?」  女二人が「あー、温泉アリ!」なんて騒いでいるなかで、俺はふと智駿さんと温泉にいく妄想始めてしまっていた。二人で美味しいものを食べて、綺麗な景色をみながら温泉につかって……そして、座敷の布団の上でしっとりとしたエッチをして…… 「……梓乃ちゃん?」 「はっ」  じとっと視線を感じて彰人のほうを見れば、彰人は俺を見透かしたように苦笑いをしている。たぶん彰人には完全に何を考えていたのか、バレている。 「まーたエロいこと考えてる~」 「か、考えてないから!」 ――ああ、智駿さんと温泉行きたいなあ……  今度智駿さんを温泉に誘ってみようかなあ、なんて考えれば顔がにやけてしまったようで、彰人は呆れたようにため息をついていた。

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