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「温泉?」  さっそく、俺は智駿さんを温泉に誘ってみた。そもそも智駿さんは旅行とか好きなのか、俺と違ってキャピキャピしたところが好きなのか……と色々と考えたけれど、ズバッと誘ってみる。そうすれば智駿さんは「うーん」と少し悩んでいた。 「ち、智駿さん……温泉、苦手?」 「いや、ううん。恋人と一緒に行ったことないなあ、って思って。仲間とはしゃいだりしに行くイメージが強くてさ。温泉って恋人と一緒にいくものなの?」 「な、何を……! もちろんですよ、智駿さん! のんびり美味しいもの食べてゆっくりしてだらだらして、そしてエッチするのが温泉です!」 「へえー、なんか楽しそう」  どうやら、智駿さんも乗り気になってきたようだ。あともうひと押し、と俺はスマホを智駿さんに見せつける。 「これ! ここ、行きましょう!」 「んー? ああ、いいね。結構近いし」  俺が智駿さんにみせたのは、隣の県にある温泉宿のサイト。智駿さんは興味深げにスマホを覗き込んで、頷いている。 「じゃあ……いついこうか。梓乃くんに合わせるよ」 「え、でも智駿さん、お店。俺が智駿さんに合わせますよ」 「個人営業だからね~。休みたいときに臨時休業とかにしちゃえばいいの。たまにはね、そうやって羽伸ばさないと」 「そっか……じゃあ、この日とか」  思った以上にスムーズに話しが進んでいく。結局、来週の平日に、ということで話しがまとまった。

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