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 まだ夏の残る時期。秋にはまだ早いこの時期は、温泉宿も空きがあって無事予約することができた。  宿へは智駿さんの車でいくことになった。電車で行くという手もあったけれど、乗り継ぎが結構多くなるということで車にしたのだった。俺から誘っておいて智駿さんに長い距離を運転させるのも悪いと思ったけれど、智駿さんは「ドライブもいいね」なんて言ってくれている。 「んー、ちょっと距離あるし、充電しないと」 「? 何をですか?」 「僕を」  車に乗り込むなり智駿さんはそんなことを言ってきた。助手席に座った俺の肩を抱き寄せてきて、キスをしてくる。俺はなぜか車の中でそういうことをされるのにとりわけドキドキとしてしまうようで、そうやってキスをされた瞬間に頭がとろんとしてきてしまった。案外あっさりと唇を離されると物足りなさを感じて、「あっ……」と声が漏れてしまう。 「智駿さん……もうちょっと、して」 「ん? いいよ。おいで梓乃くん」  どうぞ、と智駿さんが俺に体を向けて手招きをしてくる。俺はためらいなく、智駿さんの唇に自分のものを重ねていった。運転席に乗り出して、ちゅ、ちゅ、と甘えるようにキスをする。瞼を開けたままそうすれば、智駿さんも俺のことを見つめながらしてくれた。愛おしげに俺を見つめて、腰を撫でていてくれる。 「あは、ほんと可愛い」 「ん……んーっ、」  満足して唇を離せば、また、智駿さんがしてきた。俺の両頬を手のひらで包んで、ちゅーっ、と唇を押し当てるようなキスをしてくる。  身体が熱い。キスだけでイけそう。アソコがじんじんしてきて脚をもじもじとさせていれば、智駿さんはキスをやめてしまった。 「この駐車場、そんなに人通りないわけじゃないから、ここまで」 「は、はい……」  俺の蕩けた顔をみて、智駿は察したんだと思う。でも、智駿さんの言う通り。夜ならまだしも昼間にこの駐車場でするわけにはいかない。俺が納得しながらもしょぼんとして助手席に戻ると、智駿さんは笑って「宿に着いたらいっぱいできるからね」と言ってきたから、結局俺はにまにまとにやけてしまった。

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