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 智駿さんの微笑みが、色っぽい。夏の終わりの夜の、しっとりとした空気。漂う艶やかな雰囲気が、俺を撫でてくる。  唇を奪われて、そのまま俺は浴衣を脱がれた。するりと布が肩から落ちていって、上半身がはだけてゆく。智駿さんがはだけた俺の身体を手のひらでゆっくりと撫でてきたから俺の腰は自然とくねくねと動いてしまって、アソコが熱くなってゆく。 「あ……」 「ね、梓乃くん」  布擦れの音が、いやらしい。この雰囲気にぼーっとし始めたとき、智駿さんは唇を離してしまう。寂しい、そう思えば智駿さんが俺の浴衣の帯をするりとほどいて、それを俺に見せつけてきた。 「……縛っていい?」 「……ッ」  ドクッ、と心臓が高鳴った。「縛る」、その響きにゾクゾクした。  きっと縛ってエッチをするっていうのは、アブノーマルなプレイにはいると思う。それにすぐ頷くのは自分の変態的な性癖をさらけ出すようで、なかなかに抵抗があった。でも、智駿さんには全部見せると決めている。それに、俺は…… 「……はい。縛って……ください……」 「いいの? 怖くない?」 「……俺は……智駿さんに、縛られたいです」  智駿さんになら何をされてもいい。智駿さんにだったら、めちゃくちゃに酷いこともされてみたい。  俺の告白に智駿さんの目が、細められた。そして、俺は腰を高くあげるようにしてうつ伏せに押し倒される。腕は、背に。そこで智駿さんが手首を帯で縛ってくる。 「変態臭いって、思ってる?」 「……いいえって言ったら、嘘になるかもしれません」 「……ごめんね。どうしても、梓乃くんを縛りたい。僕もね、男だから……支配欲があるんだ。梓乃くんを支配したいって思っちゃう。梓乃くんを縛り付けて、僕から逃げられないようにして、僕の下でどうしようもなくさせて、僕に狂わせたいって、思っちゃう」  凄まじいほどの、独占欲。ゾクッ、ゾクッ、っと身体が震えるほどに、俺は智駿さんのそれに歓喜していた。 「そう、あとね、それから」 「……!」  手首を縛られて、それですでに興奮していた俺は、智駿さんの次の行動に目を瞠る。智駿さんは自分の帯も解いたのだ。そしてそれを……俺の顔のところに持ってくる。 「目も、ね」 「……ッ」 「梓乃くんが僕に服従するしかないように」  帯はくるりと目元に巻かれ、俺の視界が奪われる。手首の拘束と、目隠し。もう、全てを智駿さんに委ねるしかない。智駿さんに服従する。これから……智駿さんにめちゃくちゃにされる。 「んっ……!」  頭を軽く、布団に押し付けられた。ああ、すごい、俺本当に智駿さんに服従させられてる……溢れるほどのマゾヒズムが俺を支配して、拘束する。もう今自分がどんな状況に置かれているのかと考えただけで興奮して、俺の身体はぶるぶると震えだした。智駿さんはそんな俺の下半身にするりと手を這わせて、そしてチンコを指でつうっと撫でる。 「縛られただけで……勃ってるの?」 「……っ、は、い……」 「……梓乃くんも、ヘンタイだね」 「ヘンタイで……ごめんなさ、……あっ……」  耳元で、智駿さんの囁き。目隠しで視界を奪われた俺は、聴覚が敏感になってしまっているのかもしれない。智駿さんの湿っぽいその声が耳から入り込んでアソコまで届いて、ズクンッと刺激してくる。智駿さんの指は俺のチンコの先っぽを、とん、とん、と叩いてきて、こぼれ出したいやらしい汁の糸を引かせている。 「ふ、いやらしい、梓乃くん」 「あっ……あぁ……」  顎を掴まれて、そのまま上半身を持ち上げられた。俺の身体はどんどん反っていって、たぶん、すごい雌の格好をしていると思う。腰を突き出して胸を反らせて、そして全身をくねらせる。チンコをいじられて脚をがくがくとさせながら、俺は智駿さんに身を任せてぐっと身体を反らせた。 「はぁっ……、ぅっ……」 「興奮してるんだね。可愛い」 「んっ……!」  囁きは、全部耳元で。されていることはすごくアブノーマルで、智駿さんのサディズムをぶつけるような行為なのに、囁きは優しい。堕とされてる、そんな感じがして、たまらない。智駿さんの言う通り俺はすごく興奮していて、すでにチンコはぐちゅぐちゅだしお尻の穴はヒクヒクいってるし、息ははーはーとあがっている。そんな身体の変化が、智駿さんに見られていると思うとおかしくなりそう。 「……っ、」  ぱしん、小さな衝撃がお尻にはしった。叩かれたみたいだ。痛くはないように叩いてくれているけれど、こうして縛られてお尻を突き出した体勢で叩かれると、すごいことをされている気分になる。じんじんとアソコが熱くなってきて、ものすごくエッチな気分になってきた。

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