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Claufoutis~プディングに色鮮やかなチェリーを~
「し、梓乃くん……! 頼みがあるんだ!」
キャンパスにいる学生たちは、秋の装い。夏のきらびやかな色使いとは対照的に、秋になるとシックな色使いの服装が目立ってくる。俺は、そんな秋の雰囲気が好きだ。女の子なんかは特に個性的な服装をしている子が増えてきて、見ていて楽しい。
そう、楽しい。そんな風に、俺がまったりと歩いていたときだ。突然俺にすがりついてきた、男がいる。
「ちゃんと、お礼はするから! お願い!」
「いや、もっと俺以外に適任な人が!」
「いや! 一目見た時から僕は君に決めていました!」
「なんの告白!?」
彼は、高校から一緒の男子生徒・由弦 。少し大人しめな性格で、つるんでいる友達の雰囲気は俺と違かったけれど、席が近くになることが多くて結構仲が良かった。大学に入ってからもちょくちょく一緒に遊んだりしている、俺の友人の一人だ。
そんな彼の、お願い。それは、すぐに頷けるようなものではなかった。
「モデルになって! 僕の、次の作品の!」
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