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「う、ぅ……」  ひく、ひく、と呼吸のリズムに合わせて梓乃くんのお腹が上下していた。大きく円を描くようにして体をなでてあげれば、梓乃くんはぎゅっと目を閉じて深く息を吐く。感じているみたいだ。乳首がぴんっと勃って、つま先がもじもじとシーツを掻いている。 「綺麗だね、梓乃くん」 「ん、ぁ……」  マッサージというていで体を触っているせいか、梓乃くんは声を我慢している。指を唇でぱくりと噛むようにしながらふーふーと息をしている姿は、かなりいやらしい。すごく気持ちよさそうに顔を蕩けさせているのに、そんなふうに我慢されると……火がついてしまう。 「ここ、ほぐすからね」 「あぁ……」  胸を、手のひらでゆっくりと撫でる。梓乃くんは全身が性感帯ではあるけれど、胸を触った時の乱れ方はかなり可愛い。梓乃くんが感じる箇所は多々あれど、見ている僕としては胸を触られたときの梓乃くんの感じ方が特に好きだから、胸ばかり責めてしまう。大丈夫、全身触ってあげるからとりあえず今は胸を触らせて、なんて頭のなかで謝りながら、僕は梓乃くんの胸を責め始めた。 「んっ……んっ……」  胸を、ぐいぐいと揉んでみる。胸を触られると梓乃くんは声が少し高くなる。そして、無意識なのか意図的なのかは定かで無いけれど、のけぞって「もっと触って」とアピールしてくる。この、雌っぽさのあふれる感じ方が、とにかく可愛い。いやらしい仕草ではあるのに、「可愛い」が先行して心がふわふわするくらいに、可愛い。  外側から内側に胸の肉を持ってくるようにして、小さな小さな谷間をつくる。そして、なんとか手で肉を鷲掴みして、円を描くようにして揉み上げる。女の子じゃないから胸はないけれど、こうすれば十分に揉んであげることができる。ぐいっ、ぐいっ、とそうやって揉めば、梓乃くんは「んっ……ふ、ぅ……」なんて鼻をぬけるような可愛い声をあげながら、脚をもじもじさせた。 「気持ちいい?」 「きもち、いい……です……ぁ、ん……」 「乳首も柔らかくしてあげるね」 「んっ……ふ、ぁあ……」  指先で、乳首の頭を撫でる。  梓乃くんの乳首は前に比べてちょっと大きくなった。全然、可愛い小さなサイズではあるけれど、前とは変わったと思う。僕がいじりすぎたせいだ。乳首を触られたときの梓乃くんの反応が可愛すぎて、ついついいじめたくなってしまう。梓乃くんは乳首を触ると顔をふにゃっとさせて、目を潤ませながら弄られている自分の乳首を見つめる。僕の指の些細な動きをみてはぴくんと震えて、そして刺激を与えればためいきを吐くように甘い声をあげる。 「みて。梓乃くんの乳首、綺麗になってきたよ」 「んん……ん……」  梓乃くんの乳首は触ると、まず固くなる。こりこりになって、赤く充血する。それでもずっといじり続けると、全身の肌がピンク色になってきて、梓乃くんの堅くなったものからとろとろとした液体がでてくる。そうすると、また乳首の固さは変わる。こりこりしていたものが、ぷくぷくと弾力をもつようになって、さらに色も薄いピンク色になる。こうなってきたときが、梓乃くんがすごく感じているとき。こうなるまでいじってあげると、そこからの梓乃くんは思いっきり、可愛らしく乱れてくれる。 「あぁ、……う、……んん、……」 「乳首もよくなってきたね。じゃあ、次は……」  梓乃くんの体を反転させて、うつ伏せにしてあげる。そうすると梓乃くんは「んんっ……」って可愛い声をあげてくれた。 「……綺麗だね」  梓乃くんの背中は、すごく綺麗。背筋とか肩甲骨とか、凹凸がくっきりと影をつくっている。ほんの少しでも梓乃くんが身動きを取れば、その凹凸が動いて梓乃くんの背中の表情が変わっていく。それは見とれてしまうくらいに綺麗で、まるで芸術品のようだ。お伽話というのか空想話というのかわからないけれど、人間の肩甲骨は天使の羽の名残だと言われているから、こんなに綺麗な背中はを持っている梓乃くんは、もしかしたら天使だったのかもね、なんてくだらないことを考えたりもして。  だから、僕は梓乃くんの背中が見える体位でセックスをするのが好きだったりする。梓乃くんはどちらかと言うと僕の顔を見て抱かれるのが好きらしい。もちろん僕も梓乃くんの可愛い顔を見ながらするのは大好きだけれど、それでも背中も捨てがたいなあなんて思うくらいには、梓乃くんの背中は綺麗だ。 「あっ――……は、……」  そして――梓乃くんは背中を触れたときに、とても扇情的な乱れ方をする。 「ん、……は、ぁ――、……」  シーツを握りしめて、額を枕に押し付けて。詰まるような息遣い、背筋を伝う汗。背中を責められたときの梓乃くんは、いつもの乱れ方とは少し違う。可愛く鳴くというよりは、淑やかに喘ぐ。胸とかアソコを触られたときとは感じ方が違うのかもしれない。まるで別人のように色っぽい喘ぎに、僕はいつもどきどきする。  肩甲骨に唇をよせて、軽く噛む。そして、舌先でちろちろと舐めてやると、梓乃くんが「んんっ……」と鼻を抜けるような声をだす。髪の毛が汗でしっとりとしてきたからか梓乃くんのうなじからはシャンプーの匂いが漂ってきていて、まるで雄を誘うためにフェロモンを出している雌花のようだ。どこもかしこもいやらしい。 「綺麗。綺麗だよ、梓乃くん」 「はぅっ……」  汗ばんできた梓乃くんの肌は、ツヤがでてくる。こうなるとまた一段と綺麗だ。少しもったいないけれど、僕はその上にオイルを垂らしてみる。ぽた、と一滴。そうすると梓乃くんはびくんっ、と体を震わせる。また、一滴、また、一滴。びく、びく。一滴垂らすたびに梓乃くんの背中がいやらしく反応して、うっかり大量にかけそうになってしまう。 「オイルだけでこんなに感じて……梓乃くん、マッサージとかいけないんじゃない?」 「……、智駿さんの、せい、だ」 「ふふ、僕のせい?」 「智駿さんのせいで全身がいやらしくなっちゃった、」 「そうだね、僕のせい。じゃあ、もっといやらしくなろうね」

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