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「これから、どうするの? 智駿さんのところ、いく?」 「うん。授業終わっちゃってるし」 「泊まるの?」 「いや、顔を出しにいくだけ。今日は家に帰らなきゃ」  アパートの外まで、セラが見送りに来てくれる。俺が智駿さんのところに行くといえば、嬉しそうに笑ってくれた。ビッチだけど、セラは本当にいいやつだ。 「ねえねえ梓乃くん、またうち、おいでよ!」 「うん、今度また」 「エッチしようね」 「しないよ」 「何故?」 「あたりまえですよね」 「はは~そうか~」 「ほんとセラって謎だよね。えっちはやっぱ好きなんだ!?」 「あ、そうだ、次に梓乃くんが来る時までに甘い玉子焼きを作れるようになろう」 「……」  超絶大人っぽくなったと思えば、やはり宇宙人。辛い人生を送ってきたと思えば、やはりビッチ。ちょっと一緒に過ごしたくらいでは、セラのことはわからない。  奇っ怪な友人ができてしまったなあと思いながらも俺は、次はいつセラの家に来ることになるだろうと考えて――彼に背を向けた。

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