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「俺が帰ってくるまで、この部屋にいてもいいし、いなくてもいい。合鍵は、あげるよ。好きにつかってくれ」  ――そう言い残して、窪塚さんは部屋を出て行った。夜の仕事の前に、やることがあるらしい。  俺は――今日が休みだということに、心底感謝していた。窪塚さんのセックスがすごすぎて、体がだるくて仕方ないのだ。しかし、だからといってこの部屋に窪塚さんが帰ってくるまで居座るつもりはなかった。俺は――……誰かと一緒に生きるつもりはないから。   「――……」  ベッドに仰向けに寝そべって、天井を仰ぐ。いまだ、体がじんじんと熱い。下腹部はうずうずとしていて、今すぐにでも……ぐちゃぐちゃに掻き回されたい。もう一度……あの太くて熱いもので、ガンガンと突かれたい。  本当に。体で、囚われてしまいそうだ。これ以上このベッドで彼の匂いに包まれていたら、俺は狂ってしまうだろう。ここにいてはいけない。でも――また、彼に抱かれたい。  そんな、本懐と肉欲の狭間。迷う俺の耳に、バイブ音が滑り込む。  手を伸ばして、スマートフォンを掴む。その画面に映された名前に――俺は、どくん、と心臓が震えるのを感じる。 「……白柳さん」

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