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自分が普通じゃない、というのはわかりきっていたことだ。
家族はいないし、引き取られた先ではレイプされまくっていたし、高校は中退するし、ウリ専していたし。でもまあそんな人生も珍しくないよな、と思って過ごしていたが、白柳さんのことが好きになってからは自分の異常さをよくわかるようになってきた。
好きなのに、真っ直ぐに好きになれないのだ。色んな思いや記憶が邪魔をして、白柳さんを好きでいられない。俺のこの性分はきっとどうしようもないものだが、……きっと、俺について行けなくなるだろう。
「ん……」
だから、目を覚ました時に白柳さんが隣にいたことにびっくりした。白柳さんは俺の頭の下に腕を敷いて、ぐーぐーと眠っていたのだ。
「……」
……白柳さんが何を考えているのか、わからない。
嫌われたわけではないのだろうか。それとも、ただ憐れまれているだけ、だろうか。
怖くて、白柳さんに目を覚まさないで欲しいなんてことを考える。音をたてないように彼の胸元に顔を寄せて、すう、と息を吸った。おなかのなかだけじゃなくて、肺のなかまで、彼でいっぱいにしておきたかった。
「あ、……」
ごそ、と音がする。俺が身じろいだせいで――白柳さんが、目を覚ましたらしい。
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