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* 「あっ、……あっ、……ぅ、んっ……」  ベッドの軋みがうるさい。窪塚さんの動きは重く、激しく、体の奥が震えるようなセックスだった。窪塚さんは俺に覆いかぶさって、俺の腰を掴み、何度も熱で俺を穿つ。  全身が熱くなっているのを実感する。体が火照って、窪塚さんの汗がポタリと腹に落ちてきただけで飛びそうになる。体中が敏感だ。空気に触れた肌がぴりぴりと小さな快楽を拾って、少しずつ興奮を高めていく。 「あ、ア……! お、おく……そんなに、おくに……あぁっ、まって、……」 「この奥に行ったやつは、いないのか」 「いないっ……こんなに大きい人、いなっ……あ、窪塚さ、……くぼ、ッーーあッーー」  グッ、と腹の奥に重みを感じる。ずっと、腹の奥のほうだ。これ以上進ませてはいけないと、そう思ったが、窪塚さんは止まってくれなかった。  俺の膝を自らの肩に掛けさせて、ぐぐっと俺に体重をかけてくる。ぎゅう、と腹の奥が締まる感覚、びりびりと全身に快楽が広がっていく感覚。だめだ、だめだ、これ以上――そう思うのに、手が動かない。知らない感覚に、体が恐怖を覚えている。 「あ、あ、あ、あ、」 「まだ、入るぞ」 「う、そ――……あッ……あぁっ、あ――……」  ズンッ、と体が大きく揺すられた。その瞬間、奥の奥に熱が到達する。ゾクゾクッと強烈な快感があふれてきて、とまらなくて、頭が真っ白になる。 「あ、あっ、あ――⁉」  俺が悲鳴をあげると、それを皮切りに激しいピストンが始まった。バチュンバチュンと凄まじい勢いで突きあげられ、そのたびに俺の内臓が震えている。ベッドの軋みはさらにうるさく、その激しさが耳からも伝わってきておかしくなりそうになる。  ハア、ハア、と荒く呼吸する窪塚さんが獣のようだ。俺よりもずっとたくましい筋肉が汗で濡れ、動くたびに筋がゆらめく。見上げれば窪塚さんの肩にかかった自分の脚が見え、彼との体格差にくらくらした。こうしていると、自分の脚が女のもののように見えて、今、自分は彼に犯されているのだと実感する。 「あっ、アッ、あ、アアッ、ッ、」 「セラ、」 「くぼ、づかさっ……くぼづかさんっ……アッ……だめ、イク、……あぁっ……!」 「今更ッ……もう何回イッたんだよ、……ハァッ……」 「わからな、……ぁあっ、そこだめっ……イクッ……!」  腹が冷たい。俺が吐き出した精だか潮だかで、腹がびしょびしょに濡れていた。突きあげられるたびにぴゅっと透明な液体が噴き出てきて、腹を濡らしてゆく。俺はもうわけがわからなくなって、枕をぎゅっと握り締めて、激しい責めに耐えることしかできなかった。 「なあ、……セラ、」 「ん、あ……」  ズブッ、と勢いよくペニスをねじ込んで、窪塚さんが俺に覆いかぶさる。屈伸するような形になって、腹が苦しい、熱い。窪塚さんは片腕をシーツにつくと、もう片方の手で俺の頬を撫でる。   「窪塚さん、……」  俺はぼんやりとしながら窪塚さんの動きを目で追っていた。そうしている間にも、俺のペニスからはぽたぽたと液体が垂れている。びくびくと体は震えている。窪塚さんはそっと顔を近づけてきて、そして、俺に口づけようとしてきた。  けれど。 「ん、……」  無意識に、俺は彼から顔を逸らしてしまった。

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