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第16話

「無理。頭ん中、エロいことでいっぱいだし。だってそりゃそうでしょう、せっかく好きな子に触れてるんだから。脳味噌溶けそうなぐらいもっとエロいことさとりにしたいし、実際にするよ」  壮絶な色気が滲む顔で笑われて、さとりは思わず言葉につまる。  だめじゃないけど、決して嫌なわけではないのだけれど、恥ずかしくて、居たたまれなくて、心臓がばくばくと壊れてしまいそうなのだ。  すると、そうすけはさとりの表情を誤解したのか、ふっと真面目な表情になった。 「もちろんね、さとりが本気で嫌がってたらやめるよ。さとりを傷つけたくないから。でも、嫌な理由が恥ずかしいからとかそうゆうんだったら、さとりには悪いけど止まんない。俺の気持ち読みたいならいくらでも読んでいいよって言ったけど、代わりっちゃなんだけど、さとりも俺の気持ちに慣れてほしい。だって、俺、いまだけのつもりはこれっぽっちもないから。これからいくらだってさとりと一緒にいて、たくさんいろんなこと、するつもりだからさ」  かわいく首をかしげ「だめ?」と訊かれたら、さとりはもう嫌だとは言えない。恥ずかしいけれど、そうすけの気持ちが泣きたいほどにうれしかったから。だからさとりはまっすぐにそうすけを見つめたまま、自分から服を脱いだ。  それを見て、少しだけ驚いた顔をしたそうすけが、次の瞬間うれしそうに破顔する。 「男前だねえ、さとり」 『でも、身体中が真っ赤なところがたまらないね』  「おいで」  そうすけの手に誘われるように、さとりはベッドの上で、彼の正面に膝をついた。  そうすけが胸の頂にキスをした瞬間、さとりは思わずびくっとなった。 『さっき右側ばかりをいじっちゃったからかな。こっちのほうだけぷくっと膨らんでる。かわいそうだから、反対側もいじってあげよう』  あっ、と思う間もなく、そうすけがさとりの胸の頂を口の中に含む。彼の舌が乳首を舐めたり、吸ったり、甘噛みするたびに、さとりの身体はびくびくっと魚のように跳ねた。立っているのがつらくて、縋りつくようにそうすけの頭を抱き寄せると、しまいには止めようとしているのか、自分から引き寄せているのかわからなくなった。 『よかった、ちゃんと感じてるみたいだ』  そうすけの言葉に、さとりはハッとなった。気がつけばさとりのそこは腹を叩くほどに反り返り、たらたらと透明な蜜をこぼしている。  どうしよう、また漏らしてしまった。 「お、おいら・・・・・・」  さとりは真っ青になって股間を押さえた。けれど、ぬるりと滑る指先の感触に刺激されて、そのまま手でこすりたくなってしまう。 「・・・・・・っ!」 「だめだよ、さとり。俺にやらせて?」  そうすけの手がさとりの手の上に重なる。 「大丈夫。これはね、漏らしたのとは違うよ。ほら、見てごらん」  蜜をこぼすさとりの先端部分からそうすけの指先まで、粘度を含む透明の糸がツ・・・・・・と、ゆるいカーブを描いている。顔を上げ、涙目ですがるように見ると、さっきよりも少しだけ余裕をなくしたように見えるそうすけが、さとりのそれを、ぱくん、と口に咥えた。 「あぁっ・・・・・・!」  さとりは大きく仰け反った。  そうすけは尖らせた舌の先で、くぷくぷと滴をこぼす孔の部分を刺激すると、口腔内を使ってさとりのそれを締めつけ、裏筋のあたりをスーッと舐めた。 「そーすけ、や! だめ・・・・・・っ」  出ちゃう・・・・・・!  だめだ、いけないと思うのに、初めて経験する頭の芯が焼け切れそうなほどの快感に、さとりは呆気なく陥落した。  「ああ・・・・・・っ!」  びくびくびくっ、とそうすけの口の中に放ったものを、彼は少しの躊躇もなくすべて飲んでしまう。 「やっぱりあまりおいしいもんじゃないな」  そう呟くそうすけはどこか満足げで、さとりは脱力したように、ベッドに伏した。心臓が全速力で走ったみたいに、ばくばくと鳴っている。 『さすがに最初から刺激が強すぎたか・・・・・・?』  さとりは、うっすらと目を開けてそうすけを見た。汗で額に張りついた前髪を、そうすけがそっとかき上げてくれる。  そうすけはいったん身体を起こすと、さとりを見つめたまま服を脱ぎ、床へと投げ捨てた。リビングから漏れる明かりを背負って、そうすけの引き締まった裸体が薄闇に浮かび上がる。それを見たさとりの喉は、乾きを覚えたようにこくりと鳴った。 「さとり。好きだ」 『愛しい・・・・・・』  抱きしめ、口づけを交わし、いったん離れて見つめ合ってから、再び引かれ合うようにキスをする。それから、そうすけはさとりをうつ伏せにすると、指でさとりの双丘を割った。普段は服の下に隠れているすぼまりを撫でるようにやさしく触れる。 「ア・・・・・・ッ!」  ぬるりと濡れた感触に、さとりはびくっとなった。見ればあり得ない場所にそうすけの顔があって、その舌はさとりの内側へと入り込んでいる。 「やっ・・・・・・! そうすけ、それやだっ」  さとりは真っ赤になって、そうすけを止めようとした。  そうすけの舌はさとりのつぼみを解すように舐め溶かすと、やがてその中に指を差しいれ、さとりの内部を探るように、上下するような動きをした。そのときそうすけの指が、さとりの身体の中にある、ある一点に触れた。 「ああぁ・・・・・・ッ!」  ビリビリビリ・・・・・・ッと電流が走ったような衝撃だった。さとりは大きく身体を跳ね上げると、性器の先から大量の液体を放った。 「さとり・・・・・・」 『目が赤くなってる』  頬をやさしく撫でられる。さとりがうっすらと目を開けると、こめかみのあたりにキスをされた。 「そうすけ・・・・・・」  そうすけの顔が見たかった。  そうすけはさとりの表情から望みを読み取ると、今度は向き合うような形で再びベッドの上へ横たわらせてくれた。 「いれるぞ」  そうすけがさとりの太股を広げる。さっきさんざん彼の指と舌で弄られ、解された部分に、固いものを押し当てられた。ぐっ、と質量の持った熱いものがさとりの内側に、襞を押し広げるように入ってくる。 「ふあああ・・・・・・っ!」  さとりは大きく目を見開いた。想像もしていなかった衝撃に軽いパニックに陥り、全身に冷や汗が滲む。 「さとり。・・・・・・さとり。大丈夫だから呼吸をして。ゆっくり」 『さとり・・・・・・』  頬にそうすけの手が触れた。 『やっぱりもっと時間をかければよかった。さとりがこのことについて何も知らないのは容易に想像がついたのに・・・・・・』  自分を責めるようなそうすけの声。  瞼を開くと、心配そうにこちらを見つめるそうすけと目が合って、さとりはそれまで感じていた恐怖がすっと消えた。 「ごめんな、さとり。怖かっただろう」  髪を撫でてくれるそうすけの手を、さとりはきゅっとつかんだ。その手を口元に持ってきてそっと口づけると、そうすけがびっくりしたような顔をしていた。 「大丈夫。ちょっとびっくりしただけ。だからしてほしい。おいらをそうすけのものにしてください」 「いや、でもさとり・・・・・・」 『傷つけたくない・・・・・・』 「傷つかない。おいらはそうすけのすることでは何ひとつ傷つかないよ」  時間をかけ、そうすけのものがようやくさとりの中にすべて収まったとき、ふたりは顔を見合わせ、ほうっと呼吸をはいた。 「はいった・・・・・・」  そうすけが自分の中にいる。そのことがたまらずうれしい。そうすけの額には汗が滲んでいて、その瞳はやさしくさとりを見つめている。 「大丈夫か?」  そうするのが好きなのか、そうすけはさとりの前髪をかき上げると、額にキスをした。 「いいか、動くぞ」  そうすけはさとりを抱きしめると、最初はなじませるようにゆっくりと、さとりが慣れてきたのを見て、次第に動きを激しくした。 『さとり。きれー・・・・・・。かわいい・・・・・・』 「ああーー・・・・・・ンっ!」  そうすけがさとりの体内に楔を穿つ。  呼吸が整わなくて、上下するさとりの裸の肩に、そうすけがキスを落とす。  掛け値なしのそうすけの言葉は、まるで星が降ってくるようにきらきらと輝いて、さとりの心をあたため、これ以上ない甘さで満たしてくれた。さとりは両手を広げると、そうすけの首にきゅっと腕をまわした。 「そーすけ。好き。大好き・・・・・・」  さとりの心臓とちょうど反対側に重なり合っていたそうすけの心臓が、どくんと大きな音をたてた。そうすけの表情はまるで泣くのを我慢するみたいにわずかに歪められていて、その瞳の中にはこれ以上ないくらい幸せな笑みを浮かべる自分の顔が見えた。 「・・・・・・愛してる。さとり」  幸せだった。  瞼を閉じたさとりの目尻から、一筋の涙が頬を伝う。  噛みつくようなキスをされ、その目から余裕をなくしたそうすけに、快楽を引き出される。  そうすけの指はさとりの乳首をこね回し、唇は首筋から鎖骨へと辿り、腋の柔らかい部分を甘噛みする。 「あっ! あ・・・・・・、ああ・・・・・・ッ!」  そうすけが穿つたびに、さとりは甘い声を上げた。  そうすけに触れられるたびに、さとりは自分の身体が粘土のように変化し、何か別のものへと作り替えられてゆく気がした。愛しているとそうすけから宝石のような言葉が降ってくるたびに、さとりは自分が何かとてもきれいなものになった気がした。  こんなこと、自分には決して起こるはずなんてないと思っていた。  そうすけ。大好き・・・・・・。 『さとり、好きだ・・・・・・』  意識を手放すその瞬間、さとりは幸福の中で、もう何ひとつ思い残すことなどないと思った。

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