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第2話

「上官がオメガじゃなぁ、なんだかしまらねえよな。しかも、中隊長なのに宿舎じゃなくて別ンとこから通いらしいし、特別待遇すぎねえか」 宿舎の朝は異常に早く、訓練とは別に朝の奉仕作業などが義務付けられていて、隊長クラスまでが所属している。 文句あるなら、直接言えばいいのによ。 床を掃除しながら、煩そうに眉を寄せた金髪リーゼントの青年はため息をつく。 「宿舎にオメガが居たら、そっちのが問題だろ。ベータだからって性欲はゼロじゃねえし」 「まあそうだな。俺もゼロじゃないな、シェンならイケんの?中隊長さん」 シェンと呼ばれた金髪の男は、まさかと呟き肩を竦ませ両手をあげる。 「オレは性欲120パーセントだけどな。でも、あんなゴツイお兄さんはタイプじゃない」 「まあ、半端ない強さを感じるしなあ。ベータなんかが手を出したら逆に殺されそうだ」 オメガの発情を止めるには、アルファとの性交が不可欠だ。発情は抑制剤で止められるが、彼は効かないと言っていたので、番のアルファを探しているに違いない。 「今日は宙港の交通整理勤務だっけか、確か中隊長さんとコンビなんだよな。そこんとこリサーチ必要?」 「強さ的なものは、俺らじゃ太刀打ちできねえのはわかるけど、弱点とかヨロシク」 「まーた、上官イジメとかしちゃうのか、エンデ」 「いやいや、イジメじゃないって。何かあった時の保険」 パチリとウインクをなげられて、ゲッと呟きつつシェンは、天井を仰ぐ。 この駐屯地では上官イジメが絶えない。 まあ、オレには関係ないけど。 オメガだって一番の弱点を自ら披露するとか、何考えてるのかわかんねえし、底知れないから手出しはしないほうが吉なんだけどな。 シェンは、掃除を終えるとエンデの肩を軽く叩いた。

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