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第3話
辺境と呼ばれる地域だけあり、宇宙空港に着陸する宇宙船は二三隻が関の山である。
こんな田舎では事件自体があまり起こらない。
「たいてい先入観で、見逃してるんだけどな」
独りごちでパトロール用のバイクにもたれかかりながら、指定時間に現れない部下にため息をついて、閑散とした空路を眺める。
舐めきってるんだろうな。
統久は5年間辺境を渡り歩き、隊員達のパターンも大体読めてきていた。
「遅くなりました」
パトロールバイクに乗った男が、ヘルメットをとって頭を下げる。
「シェン·リァウォーカー巡査、たるんでるんじゃねえのか」
頭を上から軽く小突いて、興味もないように統久は日差しのきつい方角を指さす。
「罰として、アッチで検問かけるように」
「はあ?あんなとこ、誰も通らないですよ」
細い道はあるが、わざわざ通りたい輩はいないだろう。
「俺は遅刻の罰だって言ってんの。通るとか通らないとかそーいうの要らねえから、ちゃんと従って」
検問表をシェンへと手渡すと、自分は木の下の日影に入り込む。
「理不尽なんですけど」
罰と言われてむっとしたまま、彼は下から睨みあげてくる。
「今日はくるぜ。薬かなんか密売してそう。そっちに車を飛ばしてくるぜ。ちゃんと止められたら功績はお前のもんだよ」
「は、功績ならアンタがどうせ横取りするんだろ」
部下の功績は大体その上のものに搾取される。
シェンの言葉を聞いて統久は弾倉に弾を詰めながら、心外だとばかりの表情を浮かべた。
「功績とか要らねえし、能力ありまくりの俺様が功績なんかあげまくったら、出世しちまうじゃねえか」
「出世したくないんですかね」
胸元には勲章までつけていて、中隊長クラスには思えない功績を積んでいるのがシェンには分かった。
「したくねえよ。婚期が遅れるだろ。お嫁にいかなきゃなんねえからな」
「お嫁って」
唖然としたシェンの言葉に統久は鼻で笑い、宇宙港に着陸する船を見て、苛立った表情でブツブツ言いながら、早く指示に従えと命じた。
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