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第4話
得体が知れないな。
シェンは中隊長に指示された場所に検問を敷くと、優雅に木陰で寝そべっている彼を見遣る。
大体実弾使うとか、何処の戦争マニアだよ。
簡単に自分がオメガだと告白するのも、上から目線で命じるのも何もかもが定石から外れていて気味が悪い。
あの性格じゃ、嫁の貰い手なんかないだろうな。
そう考えると何故か不憫になる。
風は乾燥していて、恒星が近いこの地域では肌を紫外線でやられないように服を脱ぐことすらできない。
隊服の中身は汗だくでたまらなくなってくる。
遅刻の罰とはいえ、遅刻の理由くらい聞いてくれないかなとシェンはため息をつく。
こういう前時代的な無意味な罰とかは、大嫌いなんだけど。
「シェンッ、ぼんやりしてんな!!行ったぞ、ソッチ」
シェンが目を上げると、スピードをあげたワゴン車が検問目掛けて突進してくる。
マジか、強行突破かける気かよ。
シェンは、バイクから降りて光線銃を構えて放つが、ガラスに弾き返される。
待てよ、レーザー遮断ガラスか?
タイヤ目掛けて撃ち込むが、タイヤも焼き切ることが出来ない。
今からランチャーに持ち替えて、って間に合わない。
シェンがなんとか車を停めようとバイクで突っ込もうとした瞬間、ズキューンズキューンと音が響き、ワゴン車がごろんごろんと横転する。
実弾。
振り返ると寝そべった格好のまま、中隊長が狙撃してダメ押しとばかりに、開いたドアから転がり出てきた男の脚を狙撃して撃ち倒していた。
半端ねえだろ。
驚きに目を見開いたまま、シェンは立ち尽くした。
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