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※第10話

「昔は何も知らなくて可愛らしかったんだけどね」 上着を脱がせた後で遠野は流石にソファーは小さいなと呟いて、ベッドへと向かう。 「想像つきませんね。ていうか、オメガというのもまったく想像できませんから」 隊服のベルトを外して楽しそう話す遠野に、シェンは相槌をうつ。 統久は悪趣味には付き合いたくないと言いながらも、自分だけ脱がされることに抵抗はみせない。 綺麗についた筋肉と浅黒い肌には、健康的な男子そのもので、やはり欲情は覚えないなとシェンはソファーから動かずに観察する。 統久も報酬だと取り引きをしているのだから、ビジネスと割り切っているようである。 「まあ、統久は優秀すぎるからな。普段は薬代わりにしか使ってくれないから、抱きたい時に抱くには取り引きでもしないとね」 それがまた面白いのだとばかりに、遠野は背後にまわり統久の首筋に唇を落とす。 そういうところが、多分気に入らないのだろうなと何となくシェンには分かる気がした。 身体のラインはごつごつとしているが、くちづけを繰り返される度にしっとりと濡れて、肌が柔らかく見える。 「財界のプリンスが夢中になるくらいなんだ」 「そうだね。私が仕込んだのもあるけど、本当に私好みの身体なんだよ」 掌で身体を撫で上げ、乳首をゆるゆると転がすように指先で摘みあげる。 「気色悪いこと.....っ、言ってんな。シェン、オマエも、かえれ、よ」 息を乱し始めながらも、統久は遠野を振り返って睨む。 嫌がるように首を横に振る彼を楽しそうに遠野は眺めて脚を拡げさせる。 「彼はとても可哀想な人だからね。一生閉じ込めて泣かせてあげたいのだけど」 既に潤い始めている柔らかい窄みに指を滑らせて、くちくちと指を埋め込み始める。 「.....っ、は、なに、言って.....っ」 荒く吐息をついて頬を上気させると、空気がふわりと甘く香り始める。 鼻腔をくすぐると動悸が早くなり、目の前の彼が酷く扇情的に映るのに、シェンは目を見張る。 これがオメガのフェロモンか。 ベータなので、多分この感覚は薄いものかもしれないが、視線が吸引されるように外せなくなる。 「すごいフェロモンだろ。これ、普段は意志の力で抑えてるみたいなんだよね、そんなことが出来てしまうのが可哀想だよ」 何でもやろうと思えばできてしまうなんて、本当に可哀想で仕方がないと遠野は呟いて、指を奥までさしこんで脆い箇所を撫でて揺さぶった。

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