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第18話

速度と正確さ。 上に信用されるためには、成果をさっさとあげなくてはならない。 「シェル、すごいな。この地域で一番速いよな」 地域の地図は叩き込んでいて、最短距離で届けられるようにシュミレーションも何度も脳内で組んだので完璧である。 同僚に成績を覗かれて声をかけられる。 「たまたまだよ」 シェンはそんなことあるはずないだろと、胸の内でツッコミつつも処世術よろしく笑顔を向ける。 潜入するには味方を沢山つくらないといけない。 猜疑心や嫉みそねみは、それだけで捜査の成功率が下がってしまう。 「オレは結構配達迷うんだよね。なんかコツある?」 「ってもナビゲーションあるからな。迷わないだろう」 ナビゲーションどおりになど時間がかかって仕方がないから、ショートカットはみなしているとは思うが。 「近道行ったつもりが遠回りとか」 「あー、あるあるだよなあ。届け先も数こなすと決まってくるからな。大体覚えるだろ」 「シェルはすごいな。後で近道教えてくれよ」 人懐こい言葉に、爽やかに笑顔を返してお安い御用だよと答えると、軽く手をあげて自分の配達機に乗り込もうとすると、ぐいと腕を引かれて振り返る。 まだ。なんか用か? いい加減ウザったいなと思わず顔を顰めると、薄毛の中年の顔にぶつかり息を飲んだ。 資料に載っていた幹部の一人だ。この地域の支部長グラン·ノイタールだったか。 「何か?」 いきなり支部長を知っているのも変な話なので、訝しむ表情をつくり、忙しい風情を醸し出してさっさと機に乗ろうと装う。 餌に食いついたか、これで釣れたかな。 内心では焦るなと何度も繰り返す。 「君はシェル·イライズ君だね」 「そうっすけど」 「私はノイタール。この支部の支部長をしている。君の腕を見込んで頼みたい仕事があるのだが」 シェンは眉を寄せて言っている意味が分からないとばかりに首を傾げてみせた。 「普通の業務じゃなくて、業務外っすかね」 「成功報酬は約束しよう。話を私の部屋にきなさい」

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