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第31話

まだ時期尚早にも思える。 しかし、細菌兵器の運搬に危険な方法をとられるくらいだ。怪しまれているのか、または捨て駒だからか。 どちらにしろ、こんな危険な依頼を受けさせられるのは問題だ。 早い決着をつけなければシェンの命があぶない。 統久はレーザー反射加工された防弾スーツを身につけると、武器を次々に装着する。 今回の細菌兵器を押さえれば、テロ組織として登録されて一網打尽にできる。 それだけでも大きな収穫だ。 これで満足するべきだ。 欲を言えばキリがないが、これだけ深く入り込めたのは偏にシェンの度量によるものだ。 感謝もしているし、余計に心配になってしまう。 前に作戦で上司に裏切られたとは言っていたが、それにしてはこちらの作戦に協力的である。 先に金を渡したのが良かったのかもしれないが、それにしては、出来すぎな気もする。 「無茶しすぎないといいのだが」 統久は、腕に埋めた端末でシェンに指示をくだした。 『20時になったら本部長に、仕事の件を受けると告げるんだ。ブツを受け取ったら、ずらかろう。援護はする』 シェンは耳に響く命令を聞いて、防弾スーツに着替えると、物証になりそうな荷物を袋にまとめる。 もう少し深く入り込めそうだが、引き上げが早いのは危険を感じたからか。 どちらにしろ、中隊長はあのポンコツ上司とは違うってことだな。 助けても、もらったし。今回も援護してくれるってことだし。 本部長にコールをして仕事の件で話があるのでとアポイントをとると、袋に詰めた荷物をシューターに落として処理をする。 怪しい行動はしていないはずだが、今回の件はかなりヤバイ依頼なのは確かだ。 撤退命令も早いし、やっぱりかなりのキレ物なんだよな。 シェンは寮を出ると本部の建物へ向かい、本部長室へと向かった。

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