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※第57話
いつもの彼よりも欲望に正直というのが感想だ。
頭をとらえられながら腰に回した腕を引き寄せて貪りつくす姿は、綺麗な獣のようだ。
ウグッウグッと漏れる呻きにさえ興奮してしまう自分に驚きながらも、シェンは喉奥を容赦なく突き上げる。
「ーーッううう……ッ」
ビュッと口内へと欲を吐き出すと同じ、足元に生暖かい感覚を覚えて下を見下ろすと、統久の下肢が精液にまみれて、床をびしょびしょに濡らしている。
感じすぎて膀胱が緩んだのか。
ゆっくりと引き抜くと恍惚の表情を浮かべて、飲み込めなかった白濁を唇から零しながら、荒く呼吸を繰り返している。
「ーーッも、お、がまん、できないッ、はやく、はやく」
脚を開いて腰をあげて媚びる様に、シェンはたまらず統久の頭を掴んで引き上げる。
ふわりと絡むフェロモンの空気に、ひどく暴力的な感情を煽られるが、抑えるように拳をぎりと握り締める。
「せっかく上等なベッドあるんだし、使わなきゃ損だろ」
引きずるように腕を引いて、クイーンサイズのベッドへとつれてくると、衣服を脱ぎ出す。
戦闘してきた後で昂りは最高潮である。
こっちもいいかげん我慢できねえしな。
ずりずりとベッドに這い上がり、統久は両脚を開いてシェンの腰に腕を回す。
「シェン、ま、てない」
掠れた色気を含んだ声は、濡れて男をさそう。
まるで生まれつきそうであるかのように、貪婪な表情を浮かべて腰をあげてひくつくアナルをシェンの太腿へと押し付ける。
「滅多に見られないよな。楽しませてもらってから……記憶が戻るか試させてもらうよ。それくらいの役得はいいだろ」
このまま、自分のものにしたい欲求もある。
黙っていれば気づかれない。
作戦で記憶を無くしたと報告すればいいだけだ。
刷り込みでオレを主人として認識してしまったと、総監に報告して、それから……正式に彼を手に入れることも多分できる。
だけど、オレはベータだ。
もしもオレがアルファなら、それが彼の幸せになるかもしれないと思える。
「シェン……は、やく」
「せかすなよ、ちゃんと挿れてやる」
切っ先を押し当てゆっくりとズブズブと狭い腸道へと押し込んでいく。
ベータでは孕ませることはできても、満足させることはできない。発情を抑えることも。
クスリが効かないなら尚更、30を超えたら10年は外に出られなくなってしまうだろう。
外に出さなきゃいい。
そんな利己的な考えもあるけどな。
そんなの、ガラじゃない。
「ッあ、あッ……はあ、ああ、ッくる、ッ、熱いッ」
「熱くてふてえだろ?」
「ンッ、ふ、ッああ、いいッ……ッ」
腰を擦り付けて奥まで欲しいとねだる様に、シェンはゆっくりと腰をまわして弱い箇所を狙って突き上げを繰り返し始めた。
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