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※第58話

与えられる熱を享受してもっと深い場所に誘うように回した脚を引き寄せる姿に、シェンは更に興奮したかのように突き上げをはやめる。 「っふ……はあ、あ、はじ、めてじゃ、ない……ッああ、ッイイ……ッこれ、すごいッ」 声をあげて乱れながら貪る表情に、シェンは唇を寄せて子宮口をコリコリと先端で叩く。 「もう、アンタの好きなとこくらい分かってるからな」 「ッひ、あ、アッーーッ、そ、あああッ……ッ、なか、ッああ、ひ」 演技のない今の表情も、反応も全て素なのだろう。演技していた時とあまり変わらないことが嬉しい。 全ての反応が嘘ではなかった証明だ。 「ヒッ、アアッ、アアッう、っぐ、ーーンンンッ、いく、いくッ」 腹の隙間でビクビクと雄の部分から精子を溢れさせて、唇を痙攣させている。 「もう少し頑張れよ」 ズンッと体重をかけて位置を固定しながら、子宮に当たるように位置を調整して、そっと唇を舐める。 「このまま、種付けしたい……ッ」 「ッあああ、アッ、ご主人様の……はらみ、たいッ」 うっとりした表情を浮かべて告げる統久に、シェンは皮肉気な笑みを刻み、脚を掴むと肩に引っかけて子宮を潰す勢いでぐちゃぐちゃと内部を掻き回す。 「活きのいいやつ、くれてやるから、ちゃんと孕めよ」 ニヤと笑い浮かべると、脱いだジャケットから錠剤を取り出し口に含むと、統久へくちづけをする。 「ッひ、あああ、ンンンンッむッ……ッふ、あああ」 唇から錠剤を流し込みながら、熱を深い場所で破裂させて、唇を噛みちぎるように歯をたてる。 「孕ませたのは、オレだと思い出せよ」 あの時と同じ言葉と胎内で射精しなが唇を噛むことが解除のキーワード。 「ッ……ッあああ、ッひ、う、はら、んじゃ、うッああ、アッ」 放心しながらひっくひっくと痙攣する統久に、失敗したかなとシェンは顔をじっと眺める。 別れる寸前に施した催眠術。 指輪を外した時にすべての記憶を忘れるという暗示。 消えた記憶に上書きされても、問題は無い。 キーワードを揃えて解除すれば、記憶が戻るように。 賭けにも近いやり方だった。 「……ッ……ンン……はあ、シェン、話すことは沢山あるが……もうすこし、してえんだけど……イイか」 誘うように腕を伸ばされ、少し躊躇いがちに問いかけられて、解除が成功したことが分かる。 でも、どこかで失敗を願う自身がいたことにシェンは苦笑を浮かべ、惜しかったなと思いながら頷いた。

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