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アルファになる。
それは俺にとって最大の望みであり、義務であった。
なんて喜ばしいのだろう、俺の願いはちゃんと実現しようとしている。
「じゃあ、検査が終わったら戻っておいで」
「え、いいの?」
「もちろん。俺も結果が気になるしね。夜ご飯作っておくよ」
「やった。メグ先輩ありがとー」
「土曜日だし、泊まってくでしょ?」
「そーするー」
どうせ次の日も仕事なんだから、とメグ先輩の家に泊まることにも、すっかり慣れてきた。実はこのカフェ、二階と三階はメグ先輩の住まいとなっているのだ。
泊まることに遠慮していたし緊張もしたけれど、それももう以前の話。今や自分の家よりもずっと居心地が良く、安心する。俺の週一の楽しみでもあるのだ。
メグ先輩にとってもこれが当たり前のようになってきたようで、素直に嬉しい。
「夜ご飯はなにが食べたい?」
「んー……。カルボナーラ」
「じゃあそれにしよう」
「てか、いつも俺のリクエストばっかじゃん」
「ハルの喜ぶ顔が見れるしね」
「もー、またそういうコトを言って」
本当に優しいなぁ。
しみじみ思いながら、開店へと向けて着々と準備を進めていくのだった。
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