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「ハルがオメガになるって選択肢は?」
「なってどうすんの」
「番う」
「なーにそれ。俺が番なんて、ニセモノの"運命"ってことだろー? ありえないって」
「ありえないことはねぇだろ」
「あるって。それに、本物の"運命の相手"が出てきたら勝ち目ないじゃん。俺、捨てられたくないもん。番うんなら一生そばにいてくれなきゃムリ」
「おっもいなぁ……。ハルってそんなんだっけ?」
「そんなんですー」
いつか捨てられるとわかっているのに、わざわざ番う必要なんてない。
てか、そうなったらメグ先輩から離れなきゃいけないじゃん。
「メグ先輩のそばに、ずっといたい。だからメグ先輩とは絶対番わない。友達として、違う形でそばにいるって決めた」
「だからアルファになることに固着してたのか」
「そ。……オメガになんてなったら、俺、我慢できるわけないし」
オメガになって発情期がきたら、その時は間違いなくメグ先輩を思い浮かべるだろう。狂ったように、メグ先輩を求める。最悪、襲いにかかるかもしれない。
しかも俺がオメガとして一緒にいたら、"運命の相手"とメグ先輩の邪魔になるだろう。
どちらも死んでもやりたくないことだ。メグ先輩の幸せの妨害にしかならないのだから。
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