11 / 45

(5)

「ハルがオメガになるって選択肢は?」 「なってどうすんの」 「番う」 「なーにそれ。俺が番なんて、ニセモノの"運命"ってことだろー? ありえないって」 「ありえないことはねぇだろ」 「あるって。それに、本物の"運命の相手"が出てきたら勝ち目ないじゃん。俺、捨てられたくないもん。番うんなら一生そばにいてくれなきゃムリ」 「おっもいなぁ……。ハルってそんなんだっけ?」 「そんなんですー」  いつか捨てられるとわかっているのに、わざわざ番う必要なんてない。  てか、そうなったらメグ先輩から離れなきゃいけないじゃん。  「メグ先輩のそばに、ずっといたい。だからメグ先輩とは絶対番わない。友達として、違う形でそばにいるって決めた」 「だからアルファになることに固着してたのか」 「そ。……オメガになんてなったら、俺、我慢できるわけないし」  オメガになって発情期がきたら、その時は間違いなくメグ先輩を思い浮かべるだろう。狂ったように、メグ先輩を求める。最悪、襲いにかかるかもしれない。  しかも俺がオメガとして一緒にいたら、"運命の相手"とメグ先輩の邪魔になるだろう。  どちらも死んでもやりたくないことだ。メグ先輩の幸せの妨害にしかならないのだから。

ともだちにシェアしよう!