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番わせて(1)
とっくに閉店しているはずのカフェだが、まだ明かりがついている。きっとメグ先輩が俺のためにつけておいてくれたのだろう。
『Close』と掘られた木製の看板が吊り下げられたドアを押すと、そこはあっさりと開いた。裏口がないのだからまぁ、当然っちゃ当然だけど。
ここはとっくに施錠されていて、メグ先輩に電話でもしてから開けてもらうのかと思っていた。
とりあえず店内に入り、施錠をすませる。
キッチンを抜ける際にホールの電気を落とし、スタッフルームの手前にある階段を、軽い足取りで登った。
登りきればメグ先輩のお家の扉がひとつ。俺は勢いよくそれを開く。
「めーぐ先輩!」
「あぁハル。おかえりなさい。いいことでもあったの?」
「ただいまっ。そう! 検査結果!」
スラリと長い足を組み、本を片手にソファーでくつろぐメグ先輩。もうお風呂に行ったのだろうか。少し髪が濡れている。
テーブルにはティーカップとメグ先輩お手製のパウンドケーキ。この時間にティータイムとは、相変わらず優雅だ。ちょっとズレてる感あるけど。
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