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「なんか、変……っ」
「熱い?」
「頭、回んない」
身体が全機能を停止させたかのように、なんにもできない。
半身を起こしているのもやっとで、メグ先輩という支えなければ今頃倒れているだろう。
「身体、預けていいよ」
「ん……」
そう言われ、頑固になっていられるほどの余裕は一切ない。素直に寄りかかり、メグ先輩の肩に頭をのせた。
ひとつ呼吸をするごとに、メグ先輩のフェロモンをより一層強く感じる。その香りに応えるかのように増していく身体の熱。
ここでふと、怠けた思考がほんの少しだけ働いてみせた。
フェロモンに反応して起こる熱……?
今この瞬間と酷似した状況を、俺は知っている。
「発情期……?」
「正解。詳しく言えば入りかけてる、かな」
「えっ」
否定してほしくて口に出したことを、メグ先輩はあっさりと肯定した。
メグ先輩はアルファ。そのフェロモンに反応したなら、この発情は……。
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