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「それにしても、今回の発情期はずいぶん早く収まったね」 「三日くらいだっけ。まじのオメガとしては初めての発情期だからとか?」 「ありえる話だね。俺もハルにつられて落ち着いたのかな」 「かもねー。なんか気になるし、聞いてみよっと」 「聞いてみる?」 「うん」  食事中だが、携帯を手に取った。メグ先輩からも咎められたわけでもないで、電話してみる。  五コールくらいして、ようやく相手に繋がった。 「もしもーし」 『……ハルか?  こんな時間にどうした?』 「もう九時だけど。というか寝てた?」 『今日は久々のオフなんだから寝てたっていいだろ』 「あ、まじ? なんかごめん」 『いーよ、もう』  電話越しに大きなあくびが聞こえる。通話相手はもちろん、まーやんだ。  どうしよう、オフだったんだ。すっごい邪魔したよな、これ……。  まーやんのことだから怒らないと思うけど、申し訳ない。聞くのは明日にして、早めに切り上げよう。 「あー、ならいいや。もう寝て寝て」 『起こしておいてそれかよ。なんか言いたいことあるんだろ?』 「いや、ほんとにもういいよ」 『ガキが変に気遣っても強がりにしか見えねぇっての。ほら、早く言えって』  まーやんって口悪いくせに優しいし、こういうとこが話しやすいんだよね。  じゃあ、とカフェモカを一口飲んでから質問を投げかけてみた。 「あのさ、性が確立して最初の発情期って短いの?」 『あぁ。まだ性が定着してないうちに発情するのは不安定だからな。普通は三日、長くてもせいぜい五日だ。なんでそんなこと聞くんだ?』 「え、なんでって……」 『ハルはアルファになったんだろ? なら普段通りの発情周期だ。あと二週間後だぞ』 「あっ、えーと、そのことなんだけど……」  そういえば、まーやんにオメガにならないようにと、めちゃくちゃ注意されていたことを思い出した。さて、どう説明すればいいのだろう。  まずはオメガになったことを正直に言おうとした時、まーやんがそれを遮ってきた。 『あー、まぁいいわ。長くなりそうだし』 「ちょっと、なにそれ?」 『今日はなんか予定あるか?』 「特にないけど……」 『なら十二時に診療所に来い』 「え? 別に診てもらいわけじゃないんだけど」 『色々言っておかないといけないことがあるんだよ。それに、性が変化したならどのみち来るように連絡入れるつもりだったしな』 「でも今日休みなんじゃないの?」 『その方が都合いいだろ』 「本当にいいの? ……あ。じゃあ、お昼ご飯持っていくから食べないで待ってて」 『そりゃどーも。ちゃんと番も連れて来いよ』  今、番って言った?  驚いて聞き返す前に、まーやんは電話を切ってしまった。相変わらずのマイペースだ。

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