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メグ先輩が冗談なんかであんなこと言うはずがない。考えなくてもわかるはずなのに、一瞬でも疑ってしまった自分を恥ずかしく思う。
いつだってメグ先輩は俺のことを想い、優しく見守って、そして温かく手を差し伸べてくれる。
それに何度も救われてきた。
今だってそうだ。メグ先輩からの偽りのない言葉や、包み込んでくれている温もりに、どれだけの安心感と愛情を感じていることか。
「ハル、俺と住んでくれる?」
「うん……っ」
「よかった。……これからもっとハルを甘やかしてあげられるね」
「甘やかされても俺、メグ先輩になにも返せないよ?」
「俺のそばにいてくれるだけで十分だよ」
メグ先輩の声色はどこまでも優しくて、胸がじんわりと熱を帯びる。
もうたくさん甘やかしてもらっているのに、これ以上なんて。どうしようもなく嬉しくて、幸せで、一粒の涙が頬を滑り降りた。
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