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心に秘めた想い2
仕事が終わり夕飯を食べた後、次の日が休みだということもあり一緒に俺様の家に帰宅する。リビングにてキスを交わして、さあこれから本番ってときに、いきなり自分のネクタイを目の前で解きだした。
おーヤル気満々だなコイツと思っていたら、おどおどした手つきで俺様が着ている上着を脱がせて足元に放ると、手に持っていたネクタイを使って両手首を後ろ手に縛りあげる。ぎこちない所作で縛っている感じがしたので、すぐに解けるだろうと手首を動かしてみたが、ちょっとやそっとじゃ外れなかった。
(おいおい、いきなりSMプレイでもする気か? コイツにはレベルが高いんじゃ……)
猜疑心に満ち溢れているであろう俺様の視線を物ともせずに恐々と肩を抱き寄せ、そのまま寝室に連れて行かれた。そしてベッドに座るように促されたので、素直に従ってみる。
直ぐにベッドヘッドのライトを点け、目の前に突っ立ったまま、どこかしょんぼりした面持ちで見下してきた。
「何を考えてやがる。こんな風に縛りやがって」
いつもより低い声で言い放ってやると、ひくっと口元を引きつらせ、思いっきりたじろいだ。この様子じゃSMプレイなんていう遊びをしようなんて、考えていないらしいな。
「えっと……その、江藤さん怒っても照れても直ぐに手が出て怖いから。それを防止すべく、縛ってしまったというか」
「へえぇ、なるほどね。これから俺様の手が出るような何かを、お話してくれるってことなんだな?」
言い終えた後に喉の奥で笑ってみせると、佑輝くんの顔色が一気に悪くなった。
俺様としては、恐怖を与えたつもりは毛頭ない。何を話してくれるんだろうかと、わくわくした気持ちで笑ってみたのだが――
「そんな風に笑われると、かえって話しにくくなる……」
「はいはい。真面目な顔をしてやるから、さっさと話やがれ」
ビビりすぎだと内心苦笑し、とりあえず真面目な表情を作りこんでみた。
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