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心に秘めた想い8

「気にするなって言ってるだろ」 「そんなの、無理に決まってるだろ! 江藤さんの……大好きな江藤さんのことなんだから」 「そうは言ってもな。終わったことをここで披露したのは、お前に隠し事をしたくなかったからだ」 「確かに江藤さんにとっては、終わったことかもしれない。でもそれを今、聞かされたことは俺にとって、過去じゃねぇんだって」 「佑輝くん……」  両手に拳を作って握りしめ、怒りに満ち溢れた表情で語る姿に、少しだけ嬉しくなってしまった。 「昔の江藤さんなら間違いなく、今よりも大人しかっただろうなって。騒がないのをいいことに、あんなことやこんなことをしやがって!」  熱く語る宮本の下半身を見下す俺様の視線に気がつき、慌てて前を隠しても既に遅いよな――あんなことやこんなことって、何を考えたのやら。咥えたときよりもギンギンになるって、どんだけ想像力が豊かなんだか。 「……江藤さんあのぅそろそろ、手を出したい俺の気持ちを試すようなことをするのは、やめていただけないでしょうか」 「ぁあっ!? そんなことしてるつもりはねぇよ」 「してますって、その視線っ! それで見つめられるとイケナイ妄想に拍車がかかってですね、止まらないっていうか」 (恥ずかしそうに前を押さえてモジモジされると、ヤル気が全然起きてこねぇな――)  口元を引きつらせながら宮本の前に立ってやり、無言で顔面を鷲掴みしてやった。 「ふぎょっ!」  そのまま力任せに押していき、ベッドの上へと倒してやる。 「さぁてお前の中で広がっている妄想の中の俺様に勝つには、今の俺様は何をすればいいんだ? コラ!!」  言いながら鷲掴みしている指先に、渾身の力を込めてみた。皮膚に食い込んでいく感覚から、宮本の体温を感じることができる。ゆえに、更にキツく握りこんでしまうんだ。 「ヒイイイィッ! 痛い痛い、マジで死ぬってば!!」  両手を使って、俺様の片手を外そうと必死になる宮本。外されないように先手を打つべく、分身を握りしめてやった。痛いことをされているのにも関わらず、まったく萎えないところが宮本らしいかもしれない。  痛すぎる過去を知っても、こうして愛してくれるコイツを同じようにずっと愛していこうと決めた――かなり変なところもあるけど、目をつぶることにする……。

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