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宮本が失踪なんてどういうことだよ!?10
(コイツときたら、どうしてナイショなことをしようとするんだ。それが気になって、しょうがなくなるだろ)
唇を突き出して文句を言った宮本を、猜疑心を含んでいるであろうまなざしで見つめてやる。
「ほほぅ。俺様の目を盗んで、浮気でもしようとしていたのか? それとも風俗に行っちゃったりしようなんて計画を」
「そんなのするわけない! 江藤さんでお腹いっぱいだから!」
「……本当にあんなので、お腹がいっぱいになってるのか?」
宮本が逃げられないように、目の前にある木に腕を突き立てながら、腰を下ろして跨った。
「江藤さん……」
「足りないときはないのかよ?」
「そんなこと、こんな場所で言われたら困るって。求めることをしちゃうかもしれないのに」
「こんな広い場所から、おまえを見つけ出した俺様に、ご褒美くらい寄越しやがれ!」
躊躇する宮本にキレて、押し付けるように唇を重ねた。すると俺様の躰を痛いくらいにぎゅっと抱きしめて、想いに応えるように舌を絡める。
「んうっ!」
山道を登って宮本を捜した疲労があるのに、そんなのが無になるくらい、宮本が欲しくてたまらなかった。顔の角度を変えて、ふたたびキスしようとしたら、ポケットに入れてるスマホの着信音が辺りに鳴り響く。
「あ、定時連絡するの忘れてた!」
キスしようと顔を寄せていた宮本の頬を片手で制し、ポケットに手を突っ込んでスマホの画面をタップする。俺様の手によって変形した宮本の顔が面白いこと、この上ない。
「もしもし、雅輝済まない! 宮本を見つけたから、これから下山する。怪我もしてないし、元気だから安心してくれ」
タイムリミットの一時間が過ぎようとしていたから、雅輝から電話が着たんだろう。必要最低限の説明後、宮本の手にスマホを渡した。
「雅輝が駐車場で待ってる。俺様以上に心配してたんだ。声を聞かせてやってくれ」
俺様のセリフをしっかり聞いてから、宮本は耳にスマホを当てて、小さな声で「もしもし」と呟く。目をつぶって雅輝がかけた言葉に耳を傾けている様子は、従順な弟の姿に見えた。
(俺様は一人っ子だから、こういうときは羨ましくなるな――)
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