3 / 287

第3話 出会い

薄暗い林の中を抜けたそこは、開けていてとても明るい。 僕は銀ちゃんの手を離すと、光が射す場所に向かって駆けて行った。 この広場の周りを囲むように、赤や黄色い葉っぱの木が並んでいる。地面には、その赤や黄色の葉っぱがいっぱい積もっていて、とっても綺麗だった。 「銀ちゃん!早く来てっ。きれいな葉っぱがいっぱいだよ!」 僕は葉っぱを腕にすくって、銀ちゃんに見せる。 「ほらっ」 「おう、綺麗だな。いいだろ?ここ。春には桜がたくさん咲いて、その時も綺麗だぜ」 「えーっ、すごい!凛、桜も見たいなぁ」 銀ちゃんが、僕の頭に乗っていた赤い葉っぱを手に取って、腰を屈める。 「ふっ、凛のほっぺと同じ色だな。いいよ、桜の時も連れて来てやるよ…」 「ほんとに?いいの?ありがとっ」 僕は葉っぱを放り出して、銀ちゃんの腰に抱きついた。 銀ちゃんが僕の頭をぐりぐりと撫でる。 さっき会ったばかりなのに、僕は銀ちゃんの事が大好きになっていた。 葉っぱの上で寝転んだり、とっておきの綺麗な葉っぱを探したり、いっぱい話したりしてるうちに、空が赤く染まってきた。 銀ちゃんが「そろそろ帰れるか…凛行くぞ」と言って、僕の手を握った。 来る時はいっぱい歩いたと思ったんだけど、帰りはすぐに、山の入り口にある神社に着いた。僕の知ってる場所に出て、ほっと息を吐く。 「じゃあな、凛。気をつけて帰れよ」 僕の頭を撫でる銀ちゃんの腕を、慌てて掴み、眉尻を下げて尋ねる。 「銀ちゃん…次、いつ会える?凛、また銀ちゃんに会いたい…」 「いいぜ。でも一つ、俺と約束するんだ。俺と会った事を内緒に出来るか?誰にも言わないと約束出来るか?」 「うん、出来る。銀ちゃんと凛だけの秘密だね!」 「そうだ。凛はいい子だな…。俺に会いたい時はこの場所で俺を呼べ。すぐに迎えに来てやる」 「わかった!銀ちゃん、またねっ」 僕は銀ちゃんに大きく手を振ると、家に向かって走り出した。

ともだちにシェアしよう!