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第3話 出会い
薄暗い林の中を抜けたそこは、開けていてとても明るい。
僕は銀ちゃんの手を離すと、光が射す場所に向かって駆けて行った。
この広場の周りを囲むように、赤や黄色い葉っぱの木が並んでいる。地面には、その赤や黄色の葉っぱがいっぱい積もっていて、とっても綺麗だった。
「銀ちゃん!早く来てっ。きれいな葉っぱがいっぱいだよ!」
僕は葉っぱを腕にすくって、銀ちゃんに見せる。
「ほらっ」
「おう、綺麗だな。いいだろ?ここ。春には桜がたくさん咲いて、その時も綺麗だぜ」
「えーっ、すごい!凛、桜も見たいなぁ」
銀ちゃんが、僕の頭に乗っていた赤い葉っぱを手に取って、腰を屈める。
「ふっ、凛のほっぺと同じ色だな。いいよ、桜の時も連れて来てやるよ…」
「ほんとに?いいの?ありがとっ」
僕は葉っぱを放り出して、銀ちゃんの腰に抱きついた。
銀ちゃんが僕の頭をぐりぐりと撫でる。
さっき会ったばかりなのに、僕は銀ちゃんの事が大好きになっていた。
葉っぱの上で寝転んだり、とっておきの綺麗な葉っぱを探したり、いっぱい話したりしてるうちに、空が赤く染まってきた。
銀ちゃんが「そろそろ帰れるか…凛行くぞ」と言って、僕の手を握った。
来る時はいっぱい歩いたと思ったんだけど、帰りはすぐに、山の入り口にある神社に着いた。僕の知ってる場所に出て、ほっと息を吐く。
「じゃあな、凛。気をつけて帰れよ」
僕の頭を撫でる銀ちゃんの腕を、慌てて掴み、眉尻を下げて尋ねる。
「銀ちゃん…次、いつ会える?凛、また銀ちゃんに会いたい…」
「いいぜ。でも一つ、俺と約束するんだ。俺と会った事を内緒に出来るか?誰にも言わないと約束出来るか?」
「うん、出来る。銀ちゃんと凛だけの秘密だね!」
「そうだ。凛はいい子だな…。俺に会いたい時はこの場所で俺を呼べ。すぐに迎えに来てやる」
「わかった!銀ちゃん、またねっ」
僕は銀ちゃんに大きく手を振ると、家に向かって走り出した。
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