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第4話 銀の秘密
銀ちゃんに会ってから、僕は銀ちゃんの事ばかり考えていた。早く会いたかったけど、僕は幼稚園に行ってるから、普通の日は会えない…。銀ちゃんも学校に行ってるだろうし…。
月曜日から金曜日まで我慢して、土曜日の昼に兄ちゃんが遊びに出掛けると、僕も後を追うように家を出た。
山の麓の神社まで、力いっぱい走る。着いた時には、声が出せないくらいにしんどくて、何回か大きく深呼吸をした。
苦しいのが落ち着いてきて、何度か大きく息を吸い込むと、神社の奥にある山の入り口から、木々が生い茂っている先に向かって叫んだ。
「銀ちゃーんっ、凛が来たよ!」
こだまするように響いた僕の声が、だんだんと小さくなって消える瞬間、強い風が吹きつけて来て、僕はぎゅっと目をつむった。すると、後ろから少し低めの声が聞こえてきた。
「凛、元気にしてたか?」
「銀ちゃん!」
振り向いた僕は、銀ちゃんに飛びついた。そんな僕の頭に、銀ちゃんは優しくぽんと手を乗せる。
「銀ちゃん…凛、早く会いに来たかったけど、幼稚園に行ってたから…。銀ちゃんも学校?」
「ん?まあ、そうだな…。ところで、凛。おまえ、約束は守ってるか?」
「うん!ちゃんと守ってるよっ。凛と銀ちゃんの秘密だもん」
「よし、凛はえらいな。そんな凛に、もっといいもの見せてやる。ほら、俺の首に手を回してしがみついてろ」
「こう…?」
銀ちゃんの首に手をかけた僕を、銀ちゃんがしっかりと抱き上げる。そして、僕を見て「凛」と笑ったその時、大きな音が聞こえて強い風が吹いた。一瞬、目を閉じてからそっと開けると、銀ちゃんの背中に、きらきらと銀色に光る、とても大きな翼が付いてるのが見えた。
「…きれい……」
僕は、ぽかんと口を開けて銀ちゃんの背中の翼を見て呟く。だんだんとわくわくしてきて、目を輝かせて銀ちゃんを見た。
「銀ちゃん、すごくきれいだね!かっこいい!いいなぁ…」
「そうか…ん、ありがと…。凛、しっかり俺に掴まってろよ」
顔を赤くした銀ちゃんは、そう言って少し屈むと、翼を動かして、一気に高く飛び上がった。
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