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第18話 銀と清忠

今、俺の部屋で、俺と銀ちゃんと清忠の3人がローテーブルを囲んで座っている。何でこうなったかと言うと…。 俺は家に帰ると、部屋にいる銀ちゃんに「友達が来てるから2階に行くね」と声をかけて、清忠を連れて2階に上がった。 制服を脱いで部屋着に着替え、きょろきょろと部屋を見回してる清忠を、ローテーブルの傍の座布団に座らせる。 「凛ちゃんの部屋、綺麗に片付いてるね」 「まあな、あんまり物を置きたくないんだ。お茶を淹れてくるから、座って待ってて」 そう言い置いて部屋を出ようとした所で、ドアをノックする音が聞こえた。 ドアの外には、銀ちゃんがお盆にお茶とお菓子を乗せて立っていた。 「凛、お茶を持って来た…。入るぞ」 「ありがと。…え?」 銀ちゃんは俺の横をすり抜けて、ローテーブルを挟んで清忠の向かいに座った。そして、テーブルの上にお茶とお菓子を並べていく。 銀ちゃんが座ったまま動く様子がないので、俺も渋々、2人とは直角になる位置に腰を下ろした。 そして、冒頭のような状況になるのだ。 しばらく誰も口を開かずに、静かな時間が過ぎていった。俺はそろりと湯呑みに手を伸ばし、お茶を口に含む。 じっと銀ちゃんの顔を見ていた清忠が、にっこりと笑って銀ちゃんに話しかけた。 「こんにちは。俺は凛ちゃんと同じクラスの真葛 清忠って言います。凛ちゃんの1番の友達です」 清忠の言葉に、銀ちゃんの眉毛がぴくりと動いた。 「真葛…」 「ええ、真葛です、一ノ瀬さん…」 何故か楽しそうな声で、清忠は名前を繰り返す。 ーー清はイケメンな銀ちゃんが気になってたみたいだし、名前を覚えてもらいたいのかな…。 俺は呑気にそんな事を思いながら、ぼりぼりと煎餅を齧って2人を見る。 「なぜ凛と友達に?」 「ちょ、ちょっと銀ちゃんっ。なんでそんな質問するの?理由なんてないよ。一緒にいて楽しいから友達になるんだろ」 「楽しい?凛は彼といると楽しいのか…」 「そうだよ。高校で初めて出来た友達だし」 「…そうか……」 俺の返事を聞いて、銀ちゃんは押し黙ってしまった。 「俺、最初は男だけど可愛いな、と思って凛ちゃんに声をかけたんです。でも、一緒に過ごしてるうちに、凛ちゃんは見た目に反して男らしいし、喋ると楽しいし、やっぱり可愛いしで好きになったんです。あ、もちろん、友達としてですよ?それに、凛ちゃんが困っていたら、俺は力になりたいと思ってます」 「清…」 まだ、知り合って1週間しか経ってないのに、そこまで俺の事を思ってくれている事に、俺の胸がじんわりと温かくなる。 「そうか…わかった。真葛くん、暗くなる前には帰りなさい」 「はーい、わかりました」 軽く返事を返す清忠に、露骨に嫌な顔をして、銀ちゃんは部屋を出て行った。 ーー銀ちゃんは清みたいなタイプが苦手なのかな。 俺は、あまり感情を表に出さない銀ちゃんが、明らかに清忠に対して良く思ってなさそうな様子を不思議に思っていた。

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