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第21話 真葛家
清忠が俺の家に来た翌週の金曜日に、「今日は俺の家に来てよ」と、清忠に誘われた。
清忠の兄さんにも前に声をかけてもらってるし、それに、もしかして清忠は、家に友達を呼ぶのも初めてなのかもしれない…と思い、俺は快く了承した。
そして銀ちゃんに、『清忠の家に行くから遅くなる』とメールを入れておいた。
清忠の住んでる所は、俺の降りる駅より3駅先で、そこから更にバスで30分はかかった。
バスを降りてしばらく歩くと、敷地の周りをぐるりと垣根に囲まれた、平屋の大きな家が見えてきた。
「あれが俺が住んでる家。俺と兄さんと使用人が数人で住んでるんだ。使用人って言っても、主に兄さんの身の回りの世話をする人だけどね…」
「えっ、そうなの?ご両親は?」
「ここは別荘みたいなもんで、家は別にある」
「へぇ〜。清ん家ってお金持ちなんだね」
俺が感心して家を眺めていたら、「ほら、入って」と背中を押された。
門から玄関まで敷かれた石畳の上を歩いて玄関に着くと、清忠が大きな引き戸を開けた。
玄関の中は、一部屋ありそうな広さがある。
「うわぁ、すごく広いね…」
「そうか?いいから上がって。左側が俺の部屋だから」
「わかった。お邪魔しまーす」
玄関を上がって脱いだ靴を揃えていると、右側の部屋の扉が引かれて、中から清忠の兄さんが出てきた。
俺に気付いて、ふっと表情を緩める。
「やあ、椹木くん。いらっしゃい」
「兄さん…、今日は遅くなるんじゃ…」
清忠の兄さんは、ちらりと清忠に目を向ける。
「今日の予定が変更になったんだよ。椹木くん、ゆっくりしていって」
「あ、はい。ありがとうございます」
俺は、玄関でしゃがんだままの姿勢だったのに気付き、慌てて立ち上がって頭を下げた。
顔を上げる時にちらりと見えた清忠の顔が、心なしか曇っているように感じた。
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