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第26話 癒される

俺はどれくらい眠っていたのか、頰がくすぐったく感じて、ゆっくりと意識を浮上させた。 目を開くと、すぐ傍に銀ちゃんの顔があって驚いた。 「わあっ、えっ?銀ちゃん…、何してるの?」 「いいから、もう少し目を閉じてろ…」 銀ちゃんが俺の瞼をそっと手で押さえる。言われた通りに目を閉じると、俺の切れた口の端を銀ちゃんがぺろりと舐めた。 「えっ。やっ、な、に…」 「黙って…」 銀ちゃんが舐める度にちくりと沁みる。少しずつ唇がずれて、俺の唇を銀ちゃんの唇が優しく挟んでいく。 「あ…そこ、は…だ、いじょぶ…っ」 「…そうか…?」 くすりと笑って、俺の唇をひと舐めすると、今度は俺の首に舌を這わせ始めた。 「ひどいな…。紫色に変色してる。綺麗に治してやるよ…」 その言葉通りに、丁寧に舌を這わせて吸い付いていく。 「あ…っ、は…ぁ、んっ…」 俺は、身体の奥が何故だか熱くなってきて、恥ずかしい声が漏れるのを抑える事が出来なかった。 銀ちゃんは、ずいぶん長い間、俺の首に唇を寄せてから、俺の顔を両手で包んでじっと見つめ、軽く俺の唇に唇で触れた。 「あっ、もう…治ってるだろ…。銀ちゃん、ありがと…」 「ああ、治せる傷で良かった…」 銀ちゃんが俺の髪の毛を優しく撫でてくれる。 ふと、宗忠さんに言われた、「銀はおまえの事が要らない」という言葉を思い出した。俺の胸がまた、つきんと痛んで、それを隠すように銀ちゃんの背中に腕を回してしがみ付いた。 「凛?もう大丈夫だ…」 銀ちゃんが俺を強く抱き返してくれた。それでも、俺の胸の痛みは消えなくて、俺はずっと、銀ちゃんの胸に顔を埋めていた。

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