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第28話 束の間の休息

この週末は、ずっと銀ちゃんの部屋で過ごした。 傷は銀ちゃんが治してくれたけど、紅茶の中に入ってた薬が俺にはかなり効いたようで、しばらくは足元がふらふらとしていた。そんな俺が心配だからと、銀ちゃんが自分の部屋から出してくれなかったんだ…。 あの騒動の2日後の日曜日に、清忠が俺を見舞いに来てくれた。あの日の内に、宗忠さんは実家に呼び出されて、今は謹慎中だそうだ。 圧倒的に力の強い妖が、大した理由もなく人間を襲ってはいけないルールがあって、今回それを破った事で、一族の偉い人である祖父に酷く叱責されたらしい。 「俺がチクったんだけどね…」 清忠がそう言って笑った。 そして、宗忠さんが俺を襲った理由というのが、昔に宗忠さんと銀ちゃんが喧嘩をした事があって、その時に大負けしたのをずっと根に持っていたらしい。だから銀ちゃんが大事にしてる俺に手を出したんだ、って、清忠が呆れながら教えてくれた。 それと、あの時、銀ちゃん達は天井をぶち破って入って来たらしく、清忠の家の屋根には大きな穴が開いてしまった。「今修理中だ」と、これも笑って言ってた。 ーーええ…、穴を開けるってどんだけ…。でも、それだけ必死に助けに来てくれたんだ…。 清忠には悪いけど、俺は驚くと共に、微かに顔がにやけてしまった。 月曜日にはふらつきも治まって、学校へ行くと言う俺の為に、心配性な銀ちゃんは、朝早くから浅葱さんを呼び出した。俺に付いて行くように言われてるのを見て断りたかったけど、朝早くから来てもらってるのが申し訳なくて言い出せなかった。 「じゃあ、行って…くる…」 俺が玄関に立つと、銀ちゃんがいつものようにふわりと俺を腕の中に包む。俺は小さく溜息を吐いて、大人しく胸にそっと顔を寄せた。 ーーいつまでこれは続くんだろ…。困るんだよな…。この後いつも胸がどきどきする…。 「はーい、終わり。ほら、凛行くよ」 浅葱さんの明るい声に、はっとして銀ちゃんから離れる。浅葱さんは俺の背中を押して、銀ちゃんに手を振りながら玄関を出た。 「凛、毎朝大変だね〜」 隣に並んで歩く俺を、浅葱さんが憐れむ様子で見てきた。 「や…まあ、俺を守るバリアーを付ける為ですから…」 「あ、そんな敬語使わなくていいよ。名前も呼び捨てで。同い年だしね。ふふん、バリアーねぇ…。わざわざあんな付け方しなくても…」 「え?他に付ける方法あるんで…あるの?」 「う〜ん、俺からは何も言えないわ。銀様に聞いてみてよ」 「ねっ」とすごくいい笑顔を向けられ、俺はそれ以上突っ込んで聞けなくなってしまった。

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