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第45話 邪魔な存在

ビールも進み和やかな雰囲気の中、席を外していた織部さんが、日本酒の瓶と底が丸く膨らんだ透明のグラスをお盆に乗せて戻って来た。そして、銀ちゃんと浅葱にグラスを渡して注いで回る。 「これ、しろが好きな銘柄の新作なんだ。とてもすっきりした後味で冷やして飲むと美味しいんだよ。飲んでみてよ」 鉄さんに勧められて、銀ちゃんと浅葱がグラスに口を付けた。 「ああ、ほんとだ。飲みやすい」 「うん、美味しい!」 2人とも気に入ったようで、グラスに入ったお酒を一気に飲み干す。 鉄さんは「良かった」と破顔して、2人に2杯目を注いでいく。 そんなに美味しいのかと俺が銀ちゃんの手元のグラスを見てると、銀ちゃんが俺の口の前にグラスを持ってきた。 「舐めるだけだぞ」 そう言われて、舌先でぺろりと舐める。先程のビールよりは飲みやすくて、銀ちゃんのグラスを持つ手を掴むと、ほんの一口だけ飲んだ。 「あ、美味しい…」 銀ちゃんはグラスを戻すと、また一気に飲んでしまう。 「凛はこれ以上駄目だ。飲むなら俺と2人だけの時だ…」 俺を軽く睨む銀ちゃんの、少し赤くなった目元にどきどきと胸が高鳴る。 銀ちゃんを見てると、愛しさで胸がいっぱいになって涙が出そうになる。俺は、早く銀ちゃんのものになりたいと強く願った。 皆んなに祝ってもらって、とても満ち足りた時間が過ぎた。 外もすっかり暗くなり、銀ちゃんが「そろそろ帰ろうか」と立ち上がりかけて、ふらりと揺れて倒れる。 「大丈夫っ?飲み過ぎたの?」 俺は、銀ちゃんの背中に手をかけて顔を覗き込んだ。俯く銀ちゃんの顔は、驚く程に青ざめていた。よく見ると、こめかみに汗も流れている。 「え、どうしたのっ?気分悪い?浅葱っ、銀ちゃんが…っ」 慌てて浅葱を振り返った俺は、言葉に詰まる。 浅葱も、銀ちゃんと同様に青い顔をして、苦しそうに倒れ込んでいた。 「浅葱まで…どうしたのっ?鉄さん!銀ちゃんと浅葱がっ…!」 助けを求めて見上げた先には、短刀を片手に立ち上がり、とても冷ややかな目をして俺を見下ろす鉄さんの姿があった。

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