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第93話 安堵

倉橋は、俺を挟んで清忠と反対側に座り、ペットボトルのお茶を置いた。 「椹木、大丈夫?熱で喉が乾くやろうから、お茶、置いとくな。うちの人が迎えに来てくれるんやって?」 「うん。倉橋も、迷惑かけて…ごめん…」 「なんも迷惑なんて思ってないよ。まあ、もっと話して仲良くなりたいと思ってたけどな」 彼が笑ってそう言うから、俺も少し笑って答えた。 「ふふ、そっか。じゃあ…また学校で、話そ…」 「そうやな。俺の家にも遊びに来いよ」 「うん。神社って言ってたよね…」 「そう。そこそこ大きい神社やで。古いけどな。でも、俺はうちの神社が大好きやねん。椹木にぜひ見てもらいたい。真葛も来いよ。うちの神社の神使は狐やで」 清忠の肩がびくんと跳ねた。ぎこちない仕草で倉橋を見て、顔を引きつらせる。 「へ、へぇ…、じ、じゃあ、また凛ちゃんと行かせてもらおうかな…。それより一ノ瀬さん、まだかな〜」 清忠はそれだけ言うと、スゥ〜と視線を逸らせて扉を見た。 ーー清、怪しいよ…。倉橋は家が神社なだけあって、何か感じるのかな…。ここに銀ちゃんが来て大丈夫かな…。 そんな事を思っていると、疲れてきたのか少し苦しくなってきた。ふう…と息を吐いて目を閉じた俺の耳に、ばたばたと廊下を走る足音が聞こえてくる。足音がこの部屋の前で止まったと思ったら、扉が勢いよく開かれた。 「凛っっ!」 扉に目を向けると、そこには青い顔をした銀ちゃんがいて、慌てて部屋に飛び込んで来た。

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