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第96話 執着心
俺は銀ちゃんの背中をぽんぽんと軽く叩く。
「今さら…何、言ってるの…。ふふ、銀ちゃんが、放そうとしても…俺が離れないよ…。それに…銀ちゃんが悪いわけじゃ、ないし…。いつも、助けてくれるじゃん…。今も…こうやって、俺の傍にいて…くれる。だから…そんな風に、言わないでよ…。俺の方こそ、いつも心配かけて…ごめんね」
銀ちゃんの俺を抱きしめる腕の力が強くなり、一層、身体が密着する。
頭の上からくぐもった小さな声が聞こえてきて、銀ちゃんの身体が震えてるように感じた。
ーー銀ちゃん…泣いてるの…?
俺は銀ちゃんの胸に顔を寄せて、規則正しい心音に耳を傾け、目を閉じた。
しばらくして声が聞こえなくなると、銀ちゃんの胸をそっと押して顔を上げた。
「ね…、俺、泥だらけだったし…汗もかいてるから…臭い、と思う…から、も…放して」
「ん…、大丈夫だ。ここに来てすぐに、俺が風呂に入れて洗った。それに、おまえの汗は匂わない」
そう言うと、俺の首筋に顔を埋めてぺろりと舐めた。
「やっ…。な、なにやってんのっ?もう…あ…」
大きな声を出したせいか、目がぐるりと回って銀ちゃんにしがみ付く。
「凛?悪い…無理をさせたな。ほら、まだしばらく休め」
「銀ちゃん…傍にいる…?」
「ああ、ずっといる」
俺はほっと息を吐くと、安心して目を閉じた。
次に目を覚ました時には、熱が少し下がっていた。
身体の怠さもマシになっていたけど、体力が落ちて力が入らない。
銀ちゃんに身体を支えてもらって、なんとか少しだけ、お粥を食べる事が出来た。
食事の後に浅葱が来て、約束通り「銀様はずっと凛の傍にいたよ」と、教えてくれた。
ーーうん、知ってるよ。だって、ずっと俺の大好きな匂いと温もりを感じてたからーー。
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