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第109話 銀ちゃんの正体

「ぷっ、ふふ…清、すごい顔になってるよ。倉橋は信用出来そうだし、バレてもいいんじゃない」 「凛ちゃん…うん…」 清忠は大きく息を吐くと、ちらりと倉橋を見た。 「はぁ…、で?倉橋は俺の事を知ってどうしたいんだ?」 「俺は仲良くなりたいだけや。前から2人を見てたけど、真葛はいい妖みたいやし」 「ま、まあ…俺は理由もなく人間を傷付けたりはしない…」 「うん、そうやと思った。で、椹木が一緒に住んでるという彼、彼も妖やんな?それも、めっちゃ力の強い…」 急に俺に話をふられて、今度は俺がパニックになる。 「えっ?あっ、か、彼は俺の幼馴染っていうかっ…あの…その…っ」 「凛ちゃん、落ち着こ。たぶん、倉橋は全部わかってると思う…」 清忠に肩をぽんと叩かれて、俺は渋々頷いた。 「…彼は…天狗だよ。そして、俺のとても大事な人だ。彼も、人間を傷付けたりしない。出会ってからずっと、優しくて俺を守ってくれてる…」 「そうやろな。信州で椹木が熱出して迎えに来はった時に、椹木の事、めっちゃ大事にしてるんやな思った。でもいい妖ばかりでもないやろ?信州でも本当は妖に襲われたんと違うん?身近に妖がいる人間には、他の妖も寄って来やすいみたいやしな」 倉橋の言葉に、心臓がどきんと跳ねる。 「あれは…、俺がたまたま妖の領域に入ってしまったからで…。そんなに悪い妖はいないよ…」 「ふ〜ん、そうかなぁ。まあ、また襲われたら俺に言ってよ。俺は、妖を追い払ったり消す力を持ってるから。倉橋は、陰陽師の家系やからな」 「陰陽師?」 突然、倉橋の口から聞き慣れない単語が出てきて、俺は首を傾げて聞き返した。

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